4857 民主党は陸山会事件の捜査長期化を懸念 古沢襄

民主党の小沢幹事長が東京地検特捜部の参考人事情聴取に応じれば検察の面子が立ち、逮捕した石川知裕容疑者(衆院議員)らの政治資金規正法の収支報告書の虚偽記載容疑だけとなる。小沢氏の関与が証明されないかぎり会計責任者にミスで済まされる。
これによって、陸山会事件は終息の方向に向かうというのが小沢氏周辺の”読み筋”だったろう。後は起訴される石川氏の無実を立証する法廷闘争に移る・・・民主党は態勢を立て直して小沢幹事長のもとで、参院選の勝利に向けて一致団結というシナリオが描かれていた。
小沢氏の周辺には民主党の小沢グループだけでなく、心を寄せる弁護士、評論家たちがいる。特捜部の求めに応じて小沢氏が任意の参考人として出頭することの方が、得策だという判断が出たのは至極、当然のことであった。いたずらに「検察との全面対決」を呼号するだけでは、事態を紛糾させ、マスコミまで敵に回してしまう・・・という危機感すら生まれていた。
だから特捜部が”参考人”ではなく、”被疑者”として小沢氏から事情聴取をしたのは、意外でありショックだったろう。だが、これ自体は形式的なもので、広い意味では参考人の枠内で考えていい。事実、特捜部は小沢氏の説明を聞いただけで、取り調べは行っていない。
形式的というのは、行政書士や元新聞記者らからなる「真実を求める会」(東京都内の市民団体)が小沢氏と秘書らに対する政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑などでの告発状が出ているからである。告発状を受理した以上、東京地検は小沢氏らを被疑者として事情を聴く必要が生じる。それ以上のことでもなければ、それ以下のことでもない。
ということは、特捜部が小沢氏に対して二度目、三度目の事情聴取を求めるかに懸かっている。この点に関しては特捜部は手の内を見せていない。むしろ「真実を求める会」の告発状が出る前に特捜部は容疑事実の証拠を固めたという見方がある。
この証拠については特捜部は沈黙を守っているから、小沢氏側もマスコミも内容を掴んでいない。世情言われている検察のリーク(情報漏洩)もない。事件がどのような展開をみせるのか、現段階では群盲が象を撫でる域を出ていないと行ってよい。
しかし、小沢氏が参考人(被疑者)として特捜部の事情聴取に応じたことによって、事件は終息に向かうという目論みが外れたのは覆うべくもない。一日も早く、この事件の幕をひきたいという民主党の思惑が外れたことだけは確かである。
<民主党衆議院議員の集会であいさつする小沢一郎幹事長=広島市中区で2010年1月24日午後1時56分、貝塚太一撮影 民主党の小沢一郎幹事長は24日、広島市内で開かれた同党衆院議員の会合であいさつし、自らの資金管理団体「陸山会」をめぐる事件について「皆さんにご心配、ご迷惑をかけたことをおわびする」と陳謝した。その上で「今後も自らの信念を貫いて仲間と一緒に頑張っていきたい」と、幹事長を辞任する考えがないことを改めて強調した。
23日に東京地検特捜部から事情聴取された小沢氏だが、そのことには直接触れなかった。一方で「私もそう先が長いわけではない。次の世代を背負う政治家を育てるという任務が私に残された仕事だ」とも語った。
小沢氏の幹事長続投に対し、政府・与党内では捜査の長期化が今後の政権運営に与える影響への懸念も出始めている。
仙谷由人国家戦略・行政刷新担当相は徳島市内で24日、記者団に「捜査はどこかでけじめが付く。その時は世論を見ながら政治的判断をしなければならない」と述べ、捜査次第では小沢氏の進退問題が浮上するとの認識を示した。民主党の輿石東参院議員会長も甲府市での記者会見で「もし刑事責任を問われる事態になれば、そこで対応を考えていけばいい」と含みを残した。
前原誠司国土交通相は24日「聴取に応じられたことは良かった」としたうえで「すぐ国民が納得することにはならない。また聴取の要請があれば応じていただきたい」と述べた。八ッ場ダム(群馬県)の地元住民との意見交換会後に記者団の質問に答えた。
07年の参院選、昨年の衆院選で勝利した小沢氏に対し民主党内では、今夏の参院選でも陣頭指揮を望む声は根強い。「公認する権限や資金配分を独占してきた小沢氏に嫌われては、選挙が戦いにくい」(中堅議員)という理由もあり、続投に異を唱える声は表面化していない。
だが輿石氏や直嶋正行経済産業相、小沢鋭仁環境相ら政府、党の幹部が顔をそろえた24日の民主党山梨県連大会でも、参加者から「自浄能力がなくて参院選が戦えるのか」との意見が出た。内閣支持率がさらに下降するなど、今後の世論の動き次第では、問題が再燃する可能性もある。(毎日)>
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