沖縄県名護市長選の結果。
稲嶺 進 17950
島袋吉和 16362
得票率は52・3%対47・7%。投票率76・96%。
だからいわんこっちゃない、といまさら吠えてみてもはじまらないか。名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸への普天間基地移設は、反対派市長の誕生で、完全に白紙になってしまった。
というよりも、これで沖縄の基地問題は20年前に逆戻りしてしまった。大挙して投入された左派勢力の勝利である。左派は本土ではほとんど活動拠点がなくなってしまったので、闘争目標を沖縄に置いている。それが現実化した。
これによって、5月までの決着という政府公約は達成不能となる。「トラスト・ミー」と言ってのけた鳩山首相はいったいどうするか。国際政治の舞台でまったく信用のおけない指導者としての位置づけだけは確実にした。
国外・県外の移設先がそれまでに見つかるはずはない。日米関係は戦後最大といってもいい危機的局面を迎える。
だいたいが、10数年かかって、ようやくキャンプ・シュワブ沿岸へのいせつで日米合意していたのだから、鳩山首相が「沖縄のみなさまのお気持ちをお聞きして・・」などと言いださなかったら、現行案通りの手順で進んでいたはずだ。
そのために、政府は莫大な振興費も費やし、地元の了解を得るべく時間をかけてきた。鳩山首相はそのすべてをひっくり返してしまった。
「政治的未熟な首相」という以外にない。あるいは、日米同盟の死活的な重要性になどまったく関心がなく、国際情勢認識のきわめて希薄な政治指導者を輩出してしまったことのツケが、これで一気に押し寄せた。
もっとも、今後の政治展開によっては、キャンプ・シュワブで決まる可能性もゼロではない。5月時点で、鳩山首相が決断し、退陣するというケースだ。これをやれたら、鳩山首相は歴史に残る。
いずれにしろ、政治資金問題、予算の年度内成立という厄介な難問に直面しているのだから、すべてひっくるめて進退と引き換えにするという手は残されている。
いまさらいうまでもないが、日米安保が日本の外交・安保政策の基軸だ。ここに亀裂が生じて、喜んでいるのはだれか。東アジアの軍事バランスを自らぶち壊すという愚の骨頂を演じたのでは、国家の安全保障をたばねる資格はない。
■それでも鳩山さんは「5月末に必ず結論」???
<鳩山由紀夫首相は25日朝、沖縄県名護市長選で米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)をキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)へ移設する現行計画に反対する新人稲嶺進氏が当選したことを受け、選挙結果を「一つの民意」として重く受け止める姿勢を示すと同時に、移設先については従来の方針通り5月末までに決める考えを重ねて強調した。
北沢俊美防衛相は、現行案も排除せずに検討する考えを表明した。
首相は公邸前で記者団の質問に答え、政府・与党の沖縄基地問題検討委員会(委員長・平野博文官房長官)が移設先を検討していることを踏まえ「ゼロベースで国が責任を持って5月末までに結論を出すとしている。そのことは必ず履行する」と表明。また「選挙結果は名護市民の一つの民意の表れだ」と指摘した。(共同)>
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