4867 日米関係は普天間居座りで決着へ 宮崎正弘

次のシナリオが見えてきた。鳩山は予算成立後、辞任、次は管財務相へ。日米関係は普天間基地居座りで決着。参院選で政界大再編。小沢派はミニ政党へ。
最初、米国は鳩山政権を単なる我が儘坊やと誤解したようだ。普天間基地問題の蒸し返しは、キルギス同様に条件闘争だとワシントンが認識したフシがある。
キルギスのバキーエフ政権はマナス基地からの米軍撤退を要求し、議会でも可決した。米軍がしぶしぶ賃貸料値上げをのむや、バキーエフは「どうぞ駐留を続けてください」となって、大統領の再選も同時に果たした。
米国が気にしたのは「対等な日米同盟」という鳩山の不用意な大言壮語。伏線にあったのは、小沢が07年訪中直前に言い出した「正三角形」関係。日本と米国と中国を等距離におくという発想の蒸し返しでしかなく、独特の、あるいは練りになった考慮のあげくの発言ではなかった。
おりしも日米安保条約の改定から半世紀。季節的発言だろう、と踏んだ。
バランス外交、均衡外交というのはマレーシアやインドが得意芸で、冷戦当時は米ソに等距離のスタンスで、米ソに援助を競わせた。鳩山には、そうした技量どころか発想もない。
つまり美辞麗句を並べての優等生用語でしかなかった。対等な独立をいうのなら対案は何かと問われても準備さえないのだから。
米国が怒るのは論理的帰結ではなく、感情論であり、普天間基地は開き直り、居座り解決でいくという腹づもりだろう。その事情がようやく飲み込めたらしい。
民主党政権はことの重大さに気がつき、対米関係などの政策変更を深刻に熟慮している。日米安保50周年で発表された談話などにも歴然と変更へのプロセスが浮かびあがる。
そうしなければ民主党は不用意な発言で日米関係を毀損し、不用意の約束により自滅するしかない。
岡田外相も北沢防衛相も管財務相も、年明けからの発言を慎重に吟味すると、普天間の県外・国外移転は絵空事、落としどころは普天間基地居座りで行こうということだろう。五月に、努力しても駄目でした、現状維持にします、という発表で終わりだろう。それが言えないのなら日米決裂、久々に日米関係が緊張し、北京は高笑いすることになる。
沖縄名護市の市長選挙は「まるで住民投票だった」とウォールストリート・ジャーナル紙は書いた。「反対派市長の誕生は日米関係に緊張を強いるだろう」(1月26日付け)。
▲対等な日米関係を模索する?
もともと日本をして中国寄りに大胆な舵をとらせることになったのは米国である。自民党時代から党幹部は北京詣でを繰り返してきた。
ゼーリックが「米中関係はステーキ・ホルダー」といい、ヒラリーが「中国は二十一世紀の重要な国」と言い、カーターとブレジンスキーは米中国交回復30周年に北京へ行って「G2関係」とほめあげ、オバマは日本に一日だけ立ち寄った後、中国に四日間もいたのだから。財務長官は日本の頭越しに北京へ三回も行って揉み手した。
それをみて、日本が過度に北京寄りになり「正三角形関係」と言ったところで米国が怒る筋合いでもない。
1972年の田中角栄の拙速な日中国交回復にしても、日本に相談もなくニクソンが北京と連携した反応からではないのか。
しかし三角関係とは男女関係がそうであるように、しっくりいく筈はない。三国志のようにいずれ二カ国が組んで、一ヶ国を排斥する。
この原理原則もわからずに「正三角形が日米中の将来像」などと言っているとすれば鳩山政権は馬鹿揃いということになる。
さて、日本の政治の近未来が見えてきた。小沢スキャンダルが、かえって未来を透視させて呉れたのだ。
民主党政権の支持率は五割前後に落ち込んだが、かといって自民党の支持率は回復していない。つまり夏の参院選挙で自民党が回復するシナリオは望み薄である。
だから自民党は「美人過ぎる」ローカル政治家とか体操選手とかネットから登場したエコノミストとかを比例区に配置して新鮮みをだすわけだが、他方ではロートル政治家が昔のまま出てくるそうな。そのような古い顔をならべて党勢が回復する筈がないのではないのか。
ちなみに組織的バックの強い利権団体選出の参議院議員は次々と自民党を去っている。谷垣総裁はそれを抑える政治力を持ち合わせていないようだ。
公明党、共産党、社民党は旧来通りの選挙姿勢で変わりばえがしない。
国民の期待は「保守新党」だから、自民党から脱藩したがっている桝添グループや、みんなの党、平沼新党と亀井グループの合流による新党もありうるシナリオだ。中田宏+山田宏らミニ新党の準備会も態勢が整いつつあり、田中康夫の新党日本もどこかにくっつくか、ひとりだけ誰かを通そうとするか。
いずれにしても保守新党がかなりの票を集めるだろう。それは自民党の票をわるのではなく、明らかに前回民主党へ投票した大量の浮動票の多くを吸引するだろう。
▲カギは小沢幹事長が幹事長に留まるか、否かで流れが大きく変わる
問題は、与党・民主党である。正確に言えば細川の八党連立政権の性格とかわらず、反自民で結集した野合連立だから、分裂も早い。
保守新党の乱立に民主党の分裂が重なると日本の政局は乱戦模様、その星雲状態から次の政界大編成への流れが生まれる。
なにより鳩山首相は予算が通過すれば辞任する可能性が高い。細川同様に、はじめから権力に汲々としているわけでもなく、権力を握った途端に、権力の恐ろしさに震えているかのごとく、首相がもつ権限をなにひとつ決断できず、周囲の声を聞くだけというテイタラクだから。
となれば、順当にいけば次は管直人が組閣することになる筈である。しかし、党内的には小沢が幹事長でとどまる限り、選挙資金は彼が握る。逮捕、起訴になれば幹事長交代で、民主党は分裂気味なれども一応は分裂せずに選挙へ突入し、敗退する可能性が大いにある。
だが、もう一つの問題。小沢がチルドレンを率いて民主党を出るという、突拍子もないシナリオが想定できるのである。
その場合、130あまりの小沢チルドランのうち、何人がはたしてついていくか。幹事長のままなら、ほぼ全員がついて行かざるを得ないが、起訴となれば、おそらく40人前後のミニ政党に転落するのは必定だ。
小沢の性格上からも、そういう道を自ら選ぶことはありうる。
検察は小沢を逮捕する場合、国会に逮捕許諾を申請する。法務大臣の指揮権が発動されるか、どうかがその局面だが、田中角栄のときも許諾申請がなされたと同時に田中の闇の権力は一夜で消えた。
小沢の過大評価されて幻影としての権力も、そのときに消える。
 
それやこれや考え合わせてみると選挙後に政界大再編の波がおこり、保守合同に匹敵する再編が次の政権を形成することになるだろう。乱世はこれからが本番だ!
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