テロリスト対策のロンドン・サミットで決まったこと。タリバンのなかの非タリバン地域、武装解除に10億ドル。
ロンドンで急遽、開催された「反テロ・サミット」には米国からヒラリー国務長官、サウジアラビアからサルタン国防大臣、イエーメンからアル・キルビ外相など21ケ国の担当大臣が参加。ホスト役はブラウン首相とミリバンド英外相だった。
主目的はイエーメンにおける「アラビア半島のアルカィーダ」を如何に排除するか。英米がこうまでも力を注ぐ理由は、昨師走クリスマスにデトロイト空港でのデルタ航空爆破未遂の犯人がロンドンの大学に留学したナイジェリア人のアブダルムタラブだったからだ。
彼はイエーメンで数ヶ月特訓をうけ、爆弾もイエーメンのアルカィーダから入手したことが分かった。
「イエーメンは水涸れになやみ海水淡化プラントで得られる僅かの水が麻薬栽培に使われ、国民の三分の二は24歳以下の若者である。貧困が若者の過激思想へ急傾斜する土壌を醸し出し、過激派はイエーメンでの突撃兵士のリクルートが非常にやりやすい」(ディリー・テレグラフ、1月27日付け)。
他方、ヒラリー米国務長官はアフガニスタンにおけるタリバン対策の一環として、部族の異なる村落では「タリバン」を名乗るけれども、タリバンとも言えない地域があり、これらの武装解除のために10億ドルを拠出する案を提示した。
「タリバンは90年代にパシュトン族のスンニ派を主体に支持を拡げた」ゆえに「ヘクマチアル派などの影響力の強い地域ではタリバン主流と距離をおく」特質が見られ出した。ヘクマチアル元首相の息子等が、こうしたグループと接触している、とアルジャジーラが伝えている(1月27日付け)。
具体的な援助額などを決めるサミットの続きは2月27日からサウジアラビアで開催される見通しとなった。
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4879 タリバンの分断に一〇億ドル 宮崎正弘

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