4882 首相「普天間飛行場、継続使用ない」と言明 古沢襄

鳩山首相は後先を考えずに、その場の雰囲気で重要発言をする癖がある。言うなら”口舌の徒”、その悪い癖が直らない。沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について28日、移設先が見つからずに現在の普天間飛行場を継続使用する可能性を、「今まで通り使うなどという話はない」と明確に否定してしまった。
「ゼロベースには普天間継続使用は含まれない」と言った。その上で「覚悟を持って5月末までに決める」と言明している。
この発言は、自ら退路を断ったことを意味する。5月末までに移設先を決められなかったら、発言の責任をとって首相を辞任するしかない。その覚悟があるか、と参院予算委員会で野党側から追及されたら、あいまいな態度で言質を与えなかった。
普天間移設は米国と沖縄県民の理解を得るという極めて狭い道を通らねばならぬ。昨年来、移設先の閣議決定を先延ばししてきた結果、日米合意の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)については、名護市長選で「ノウ」の民意が出ている。小沢幹事長も否定的発言をした。米側は日米合意以外の選択肢はないと繰り返し発言している。
相矛盾する米国と名護市民の意志の間で、他の手段である海外移設や沖縄県外移設の具体案は見えてこない。仮に日本政府だけで沖縄県外移設地を閣議決定しても、米政府が同意しなければ”絵に描いた餅”で実現性は皆無といわねばならぬ。
遺された道は名護市民の民意に反して、日米合意の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を選択するしかない。それが出来なければ、結果的に普天間継続使用になってしまうのは、子供でも分かる理屈ではないか。それとも一度消えた「嘉手納基地に統合する案」に期待を繋いでいるのであろうか。
米側が難色を示して消えた「嘉手納統合案」は、昨年に岡田外相が米側に打診工作をしていたが、米側から拒絶されている。日米間で再協議する動きはない。むしろ日米合意の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部移設に逡巡してきた鳩山首相に対する不信感が増幅されたのが現状であろう。
この状況下で「普天間継続使用はない」と言明した鳩山首相なのだが、米側の反応は冷ややかである。すでに”口舌の徒”と見透かされていると言ってよいだろう。先延ばしの末に五月になれば、窮地に立つのは鳩山首相ということになるのではないか。
<鳩山首相は28日、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について、「覚悟を持って5月末までに決める」と述べ、米国と沖縄県民の理解を得た上で、移設先の閣議決定をめざす考えを表明した。
だが、沖縄や与党には選定作業の責任者である平野官房長官への不信感が高まっており、首相が描く「残り4か月で完全決着」のシナリオに暗雲が広がっている。
首相は28日の参院予算委で、5月末までに「すべての皆様方に理解して頂けるものを作る」と言明。同日夜、移設先が見つからずに現在の普天間飛行場を継続使用する可能性について首相官邸で記者団に聞かれると、「今まで通り使うなどという話はない」と明確に否定した。
一方、平野官房長官は28日、照屋寛徳・社民党国会対策委員長ら沖縄県選出の与党国会議員でつくる「うるの会」メンバーと首相官邸で面会。平野氏が、同県名護市長選での普天間飛行場移設受け入れ反対派の勝利を「斟酌(しんしゃく)してやらなければいけない理由はない」と発言したことについて、照屋氏らから「沖縄県民、名護市民にショックを与えている」と抗議を受けた。
平野氏は「誤解があった。民意は当然、尊重する」と釈明する一方、「ゼロベースで移設先の検討を進めたい」と述べ、現行の名護市への移設計画が選択肢に含まれることは否定しなかった。(読売)>
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