パシュトンのなかのシンワリ族がタリバンを離脱し米軍に接近。米国のタリバン分断作戦、最初の成果は100万ドル援助と引き替え。
シンワリ族は40万人、アフガニスタン南東部に蟠踞し、パキスタン国境に近いので麻薬密輸ルートの一つとされた。最近、シンワリ族の長老50名が連署し、タリバンからの離脱を声明した。
このため米軍は武器と食糧を供与し、カブール政府をバイバスして100万ドル相当の援助を与える。ベトナム戦争で米軍はモン族をベトコンから乖離させ、その結果、戦後「モン族」の多くは米国へ亡命した。
この部族分断支配の原理は古今東西かわらず、ネパールのグルカ兵士のように祖国には帰れない流浪の外人部隊をも産んだ。
現在、米国には20万人近いモン族の聚落がある。 イラクでは米軍はスンニ派の分断をおこなってシーア派過激派に退治させた。
さてアフガニスタンで最初の分断の成功は経済援助と引き替えだが、タリバンの中でもセクト争いが激化しており、しかもタリバンが麻薬ルートを独占しているために、利権を排撃された地域部族が結束する動きがある。仲介役はヘクマチアル派とも言われている。
むろんタリバンからの復讐も開始されており、長老ふたりが暗殺されたり、逆に長老に刃向かってタリバンへ流れる若者もいると現地入りしたNYタイムズが伝えている(29日付け)。長い目で見た場合、このシンワリ族は第二のモン族の悲劇を生むか?
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4886 シンワリ族がタリバンを離脱? 宮崎正弘

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