北朝鮮は黄海東側の北方限界線(NLL)に向かって一日に200発余りの海岸砲を発射したのに続き、28日には延坪島(ヨンピョンド)の北側水域で砲撃を行った。北朝鮮軍の砲撃が西海(黄海)全域に拡大する様相だ・・・と韓国の中央日報が伝えている。
北朝鮮の軍事行動は海岸砲を発射だけではない。26日には北朝鮮の戦闘機10機ほどが白リョン島東側のNLL付近の上空を飛行し、韓国軍のF-16戦闘機が緊急発進、出撃していた。
また朝鮮日報は北朝鮮の砲撃は、さまざまな種類の砲弾を目標地点に同時に着弾させる、いわゆる同時着弾砲撃を行なった・・・と発表した。目標地点に同時に落下する同時着弾は、様々な砲から発射するので砲撃技術としては、かなり訓練を要する。
海岸砲、多連装ロケット砲、自走砲などを同時に発射すれば、着弾地点が異なって、破壊力が減殺される。北朝鮮軍はさまざまな種類の砲撃で目標地点に同時に落下する同時着弾の訓練を行った。数十キロから数百キロの範囲内にある艦艇の破壊が狙いだが、上陸作戦を行う側にとっては脅威になる。
日本では北方限界線(NLL)の北朝鮮軍と韓国軍の緊張状態がほとんど報じられていない。国会では鳩山首相の長々したなかみの薄い退屈演説、スポーツ面ではフィギュアスケーの真央ちゃんが韓国・全州華山氷上競技場で逆転優勝がトップ記事で躍っている。
いつまでも、こののんびりとした平和が続けばよいのだが・・・。
<北朝鮮軍が27日、西海(ソヘ、黄海)白リョン島(ベクリョンド)と大青島(テチョンド)東側の北方限界線(NLL)に向かって一日に200発余りの海岸砲を発射したのに続き、28日には延坪島(ヨンピョンド)の北側水域で砲撃を行った。北朝鮮軍の砲撃が西海(黄海)全域に拡大する様相だ。
軍の関係者は「北朝鮮軍はこの日午前8時10分ごろから延坪島付近で間けつ的に10余発の海岸砲を発射した」と述べた。砲弾が落ちた地点は「航行禁止区域」が宣言されていない水域で、北朝鮮軍は昨年の冬季訓練でもこの水域に向けて射撃している。
これに先立ち26日には北朝鮮の戦闘機が白リョン島東側のNLL付近の上空を飛行し、韓国軍が緊急出撃していたことが確認された。
軍の関係者は「北朝鮮の戦闘機10機ほどが26日午後、白リョン島付近のNLL近隣まで飛んできた」とし「韓国の空軍機が緊急出撃して対応した」と述べた。この関係者は「北朝鮮の戦闘機はNLLを越えなかったが、韓国空軍の非常対応境界線の戦術措置線(TAL)を越えてきた」と説明した。
これを受け、空軍などは非常事態となり、西海岸側の空軍基地のF-16など戦闘機が緊急発進した。この関係者は「北朝鮮の戦闘機10機以上がTALを越えてきたのは極めて異例」と伝えた。北朝鮮空軍機の挑発のため西海岸の空軍基地は現在も非常待機中だ。
韓米軍当局は28日、ソウルで安保政策構想(SPI)会議を開き、北朝鮮の西海射撃をはじめとする北朝鮮の最近の軍事動向について意見を交換し、緊密な協調体制を維持することにした。(中央日報)>
<27日と28日に北朝鮮が相次いで西海(黄海)海域で行った砲撃では、さまざまな種類の砲弾を目標地点に同時に着弾させる、いわゆる同時着弾砲撃を行おうとしていたことが分かった。北朝鮮は27日、ペンニョン島と大青島周辺の北方限界線(NLL)周辺海域に向け、海岸砲だけでなく放射砲(多連装ロケット砲)や自走砲までも動員し、最低300発以上の「投網式」同時着弾砲撃を行っていた。28日に延坪島周辺で行った砲撃に関しては、砲声が聞こえただけで、その内容は正確に確認されてはいないが、やはり複数の種類の砲が動員されたものと、軍当局は推測している。
北朝鮮は今回の砲撃で、甕津半島などの海岸地域や島などに配備された130ミリ海岸砲(射程距離27-34キロ)以外にも、240ミリ放射砲(射程距離60キロ以上)や170ミリ自走砲(射程距離54キロ)などもすべて投入した。北朝鮮が使用した砲撃方式は、専門用語でTOT(Time On Target)と呼ばれる同時着弾砲撃だ。これは、同じ時間に目標地点に着弾するようにしなければならないため、砲撃は同時に行われるのではなく、時間的に間隔を置いて行われる。つまり遠方にあるものから先に砲撃を行い、近くにあるものは後から砲撃を開始する。
TOTは砲弾が同時に目標物周辺に落下するため、時間をおいて着弾する場合よりもはるかに脅威となる。目標物となる艦艇や車両にとっては、砲弾を回避するチャンスが少なくなるからだ。とりわけ海岸砲や放射砲などはミサイルに比べて正確度が低いため、投網を投げて魚を捕らえるように、最大で数十発の砲弾を数十キロから数百キロの範囲内に一気に落とし、目標物を破壊するというものだ。
NLL | 李英鎬 北朝鮮が砲撃に使った240ミリ放射砲の場合、12発のロケットを一つの束にまとめた12連装(M-1985・1989型)と、22発をまとめた22連装(M-1991)がある。これはロケット1発で半径80メートルの範囲内にあるものを破壊できる。別名「曲山砲」と呼ばれる170ミリ自走砲は、1発で半径40メートル以内に打撃を与える。情報筋は170ミリ自走砲については1時間で18発、240ミリ砲は32発を発射できるものと把握されている。
北朝鮮は今回の砲撃で、北側海域に設置された砲撃区域内に、比較的正確に砲弾とロケット弾の双方を着弾させたという。このことから軍当局は、北朝鮮には海岸砲で韓国艦艇を正確に狙う能力はなくとも、投網式の砲撃で艦艇を破壊する能力があることを誇示したものとみている。1999年から、西海上では3回にわたり、南北間の艦艇による武力衝突が起こったが、いずれも北朝鮮側艦艇が敗走する結果に終わっている。そのため北朝鮮は今回、韓国艦艇に対して新たな攻撃の手口を誇示しようとしたようだ。
軍の消息筋は「北朝鮮は西海NLL周辺で作戦を行う韓国海軍の高速艇、哨戒艦、護衛艦などに対しても、状況によっては北朝鮮からの砲撃を受けることもあり得るという事実を誇示したようだ」と述べた。さらに野砲の正確度を高めるなど、性能を向上させる目的もあったと分析されている。
情報当局では今回の投網式砲撃について、砲兵出身で総参謀長(韓国の合同参謀議長に当たる)の李英鎬(リ・ヨンホ)大将が主導して行われた可能性が高いと判断しているという。砲撃の専門家とされる李大将は、北朝鮮の海岸砲の口径を中口径から大口径へと変更した人物とされている。李大将は今月15日、平壌近くの西海岸で240ミリ放射砲や戦闘機などを動員して行われた陸海空軍合同訓練に姿を現した。(朝鮮日報)>
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4889 北朝鮮軍の同時着弾砲撃の脅威 古沢襄

コメント
北朝鮮の暴挙には断固対抗措置を取るべし。