4916 なぜいま? 中国はダライラマとオバマの面会に反対声明? 宮崎正弘

中国、振り上げた拳はダライラマ法王との面会を取り消させて手打ち?グーグル問題と台湾への武器供与で米中関係は深刻に毀損されたのだが・・・。
2日、中国は米国へ恐喝的態度で警告した。二月末に訪米を予定しているダライラマ法王とオバマ大統領との面会を露骨に反対し、「あれは中国の内政問題、ダライと会うな。ヤツはテロリストだ」というハチャメチャの論理で、あたかも北京がワシントンへ厳命している格好である。
恐喝材料のひとつにはボーイング社への制裁というシナリオがある。ナンデモアリ、何をしでかすか分からない国ゆえに上からの命令次第では反日暴動がおきたり、一晩で収まったりしますから。
台湾への武器供与は米国側のメーカーはボーイング、ロッキード・マーチン、レイセオンなど錚々たる軍事産業だが、ロッキード・マーチンはPAC3防空システムを売却し、レイセオンはパトリオット・ミサイルを。ユナイテッド・テクノロジー社の子会社シコルスキー航空製造は60機の武装ヘリコプター「ブラックホーク」を台湾に売る。
いずれも、中国とのビジネスが少ないので制裁されても僅かの影響しかないが、ボーイングは中国に大量の航空機を売っているので、中国がもしボーイング一社に対して制裁を加えると深刻な悪影響が出るだろう。EUはエアバスを中国にもっと売り込めるのでひょっとして歓迎かも。
米国は「台湾への武器売却は『台湾関係法』に基づき長年にわたって継続されてきたうえ、両岸の安全保障と安定に繋がる」として中国の抗議を取り合わない。
グーグル問題から一挙に険悪化している米中関係。G2同盟が崩壊すれば、これで安眠できるのは日本と台湾である。だから今度は日本が高笑いをする番になるのだが・・・。
中国は巧妙狡猾な外交長者、G2関係を毀損させるほどの隘路に陥る愚かな選択を自らするとはおもえず、ならば「落としどころ」は?
ひとつはボーイング一社への単独制裁である。
そんなことをして何の得になるかと考えるのは日本人で、かの国はメンツが重要でもあり、またメンツのためには相手を罠に陥れるのは得意技である。昨年、リオテント買収に失敗するや、北京在住のリオテント社員四名を「スパイ容疑」で突如拘束するという非常識なデタラメを平気でやる国だから、これは考えられるシナリオのひとつ。
いま一つは、ダライラマ法王を材料視している現実がある。
これまでにも歴代大統領はダライラマ法王と面会し、北京の抗議は恒例行事のように強い抗議をするが一晩で終わるというパターンが続いた。
今回はあまりにも早い段階での声明だから何かの含みをこめて、北京がワシントンへメッセージをだしたと了解することも出来るだろう。
ダライラマ法王とオバマ大統領の会見を(まだワシントンは予定もしていない段階で)、鮮明に反対しておくことによって、ワシントンが時間の都合がつかないとかの言い訳で、現実に会えないことにすれば、双方が政治的妥協を演出できる。今回はそれで手打ちをおこなう可能性がでてきた。
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(読者の声)トヨタ自動車謀略論に火がついておりますが、私は個人的には意図された謀略ではなく、先生がいつもおっしゃる「池に落ちた犬を叩く」状態になっているのだと思います。
政治的な力も利用してトヨタを引き摺り下ろしたいのでしょうが、どっこい悪かったのはアメリカ社製の部品。コスト削減のために使った部品で、日本で走っているメイドインジャパンの車は問題なし。
ですからアメリカ政府も追及すればするほど臍をかむことになるのでは?
しかし最近気になるのが、日本で工場爆発など生産現場での事故が目に付くことです。コスト削減という言葉だけが先行して、人員不足、教育不足で現場の危機管理がおざなりになってしまっているような気がします。
現場のご苦労は大変かと思いますが、日本は妥協を許さない技術と信用で生きて行ける国だと思いますので政府も何らかの対策を考えてくれてはと思います。(TM生)
(宮崎正弘のコメント)トヨタのリコール問題ですが、ご指摘の範囲内なら良いのですが、4日の米議会公聴会で、新たな展開になると思います。
さしあたってトヨタの対策発表で株の暴落は避けられたようですが、EUといい、中国と言い、トヨタ陥落を拍手して迎えるような市場の敵ばかり。トヨタの三河商法が、今後の世界に勝負しうるか、どうか。
いまでも部品メーカーが中国で、あれはトロイの木馬説もあります。
トヨタを訴えるとカネになると踏んだ悪徳弁護士とユーザーが組んでの集団訴訟も、拡がっています。背後にいるのは米民主党です。クリントンの時代のように、片っ端から日本企業に難癖をつけて訴訟でカネを稼ぐ悪徳弁護士は、アメリカ特有の風土でもありますが。
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