なんとも不完全燃焼の結末となった。「検察vs小沢」の戦いは、小沢氏に軍配が上がった。元会計担当の現職議員ら3人はたしかに起訴されたが、小沢氏が嫌疑不十分で不起訴という結果は、国民には釈然としない思いが残るだろう。
ゼネコン各社を一斉捜索するなど、検察は4億円土地購入資金の原資にゼネコンからのヤミ献金が含まれているとにらんでいたのだが、結局、立証できなかった。証拠が固まらなかったのであれば、法治国家である以上、ホコをおさめざるを得ない。検察トップは無理を避けた。
今後、検察審議会が2回、起訴すべきだという結論を出せば、公判に持ち込むことも可能だ。そこまでいくかどうか。小沢氏は堂々と記者団に述べた。「幹事長の職責を返上すべきとは思っていない」
小沢氏の進退問題浮上は必至という観測が強かっただけに、不起訴によって、民主党内にあった責任論は一気に吹き飛んだ。
ここがなんとも不可解なところではある。昨年の「西松献金」では、国策捜査だの指揮権発動だのといった勇ましい声が出たのだが、検察が都合のいい判断をくだせば、今度はこれを粛々と受け入れる。
昨年の事件では小沢氏の公設第1秘書が逮捕、起訴された。これによって、小沢氏は代表を辞任した。
こんどは現職議員も含めて3人も起訴されたのに、幹事長留任だ。おそらくは、小沢氏もこのまますむとは思っていないのではないか。昨年の代表辞任も秘書逮捕から2ヶ月後だった。
小沢氏は党内外の情勢を周到に見極め、進退の判断をくだそうと思っているに違いない。東京地検の判断が出る前日、3日付朝刊各紙がおもしろいといってはなんだが、見事に分かれた。
朝日と毎日は1面トップで「小沢氏 不起訴の方向」。まったく同じ見出しでドーンときた。
これに対して産経は「小沢氏の了承得た 石川容疑者が供述」。こちらも1面トップで、小沢氏の扱いについては「上級庁と最終協議に臨む方針」。なおも小沢氏起訴の可能性に寄せる「期待感」ありありという記事であった。
読売は1面で小さく「小沢氏処分きょう判断 検察内部に立件消極論も」。日経も「小沢氏処分、最終判断へ」と断定を避けた。
さあ、どちらに出るか。検察は世間をあっといわせて初めてその存在感を示すことができる。朝日、毎日の書いたように不起訴なのか、それとも大逆転で起訴に踏み切るか。そんな思いで見つめていたのだが、朝日、毎日の不起訴事前報道の通りになった。
「秘書が勝手にやった」ですまされるのかどうか。法的な処分はなかったにしても、政治的、道義的責任は残る。鳩山首相は「小沢さんに参院選を率いてもらわなければ」というが、疑惑満載の小沢氏が選挙の先頭に立つことが民主党のイメージダウンにつながらないのかどうか。
党内に何人かは小沢氏の進退問題を口にする人は出たものの、なにからなにまで小沢氏が決めるという「小沢支配」構造に変化なしということになる。
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4942 小沢氏は本当に辞任しないのか 花岡信昭

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