4948 普天間移設先・やはり当てはなかった鳩山首相 阿比留瑠比

昨日は、連載記事「新民主党解剖」第3部を書きながら、耳ではテレビで放映された衆院予算委員会のやりとりを聞いていました。中でも、やはり白眉だと感じたのが、自民党の石破茂政調会長の質問でしたね。鳩山内閣の閣僚たちが「何を聞かれるか」と緊張している様子まで伝わってきました。
石破氏は当初、鳩山首相と民主党の小沢幹事長の「政治とカネ」の問題を突くことも検討したようですが、結局、質問の大半は民主党による予算の個所付け通知の件と、得意の外交・安全保障、憲法の分野にあてていました。それでよかったのだろうと思います。
で、その中で私が注目した鳩山氏の答弁がありました。たぶんそうだろう、いやきっとそうに違いないと思ってはいたことですが、それがはっきりしたのです。石破氏の質問に、よくぞ聞いてくれたと拍手を送りたい気持ちでした。
石破氏 総理、あなたは昨年の衆院選挙のときに、米軍普天間飛行場の移設先について国外、最低でも県外とおっしゃった。当てがあっておっしゃったか。
鳩山氏 今までの様々な経緯を私としてもすべて理解しているわけではなかったが、様々な選択肢の中で(名護市の)辺野古に決まったと理解している。その中で、海外、県外、様々な議論があったので、一切、県外、国外に理解なく申し上げたわけではない。ただ、県民感情を考えたときにそれが望ましいという思いで述べたことは事実だ。
…しどろもどろでよく分かりませんが、要するに、辺野古の代替え案にたいしたアイデアはなかったということを明らかにしていますね。その程度の考えで、沖縄県民の期待をもてあそび、日米同盟にひびを入れたわけです。せっかく、沖縄県知事と名護市長(当時)がともに日米合意の受け容れを表明するという「奇跡に近い」(石破氏)千載一遇の好機も逸してしまいました。
また、鳩山氏は新たな移設先について5月末までに「合衆国政府もこれでよい、分かったと。地元も納得という形で最終案を政府として決めるということだ 」と明言しましたが、これも当てがあって言っているようには聞こえませんでした。鳩山氏が答弁の中でやたらと「思い」を繰り返すことは以前も指摘しましたが、実は自分の「思い」と「現実」の区別がつかない人なのではないかという懸念を覚えています。
施政方針演説でガンジーの言葉を引用し、「労働なき富」は罪だと語った件もこの人の現実感覚を疑わせます。あれは、現にそう冷やかされている通り、誰がどう聞いたって「それはあんただろう」という話ですね。実際、施政方針演説の閣議決定の前には、閣僚や官房副長官らから「それはまずくないですか?」と反対論が出ていたのに、鳩山氏は「批判は覚悟している」と押し切ったそうです。
一応、お金の件で自分が評判がよくないこと自体は分かっていたのでしょうが、その批判がどのくらい大きく、本質的なものであるかは理解していなかったのだろうと見ています。つまり、この人は他者の目に映っている自分の姿が想像できず、ただ自分自身の夢の世界に遊んでいるだけなのでしょう。
これも以前のエントリで書いたことですが、こうした鳩山氏のあり方について小沢氏側近の平野貞夫元参院議員は「意識した夢遊者」と表現していましたね。そういう人間がいたっていいとは思いますが、国のトップとして仰がなければならない国民は不幸だと、わが身を顧みてしみじみそう感じています。
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