枝野幸男氏の行政刷新担当相に起用と、石川知裕議員の離党はリンクしているのではないか。自民党には鳩山首相の小沢離れが決定的になったとみる向きがあるが、鳩山氏と小沢氏の間で周到に用意されたシナリオだという気がする。
これによって小沢幹事長の辞任を求める世論が沈静化され、内閣支持率の低下現象に歯止めがかかれば、民主党は態勢を立て直し、参院選に万全の構えで臨むことが出来る。問題は世論が納得するかに懸かる。
シナリオがあったか、どうかは一両日中にも分かるであろう。鳩山・小沢両氏の間に亀裂が入ったとみるのは、早計ではなかろうか。
<鳩山内閣は10日午前、民主党の枝野幸男元政調会長(45)を行政刷新担当相に起用することを持ち回り閣議で決定し、枝野氏は同日就任した。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体をめぐる事件などで内閣支持率が下がる中、昨年11月の「事業仕分け」で活躍した枝野氏の起用で改革姿勢をアピールし、政権浮揚につなげたい考え。「非小沢」系の代表格でもある枝野氏を入閣させることにより、鳩山由紀夫首相の指導力を示す狙いもある。
「一昨日、小沢幹事長が官邸に来たときに話し、『まったく異存はない。しっかりやろう』という話だった」
鳩山首相は10日午前、記者団にこう語り、幹事長続投を確認した8日の小沢氏との会談で枝野氏の起用を伝え、了承を得ていたことを明かした。事件では不起訴になったとはいえ、小沢氏に対する世論は厳しい。鳩山首相にとっては「小鳩」体制を維持することで政権の安定を優先する一方、小沢氏と距離を置く枝野氏の起用で政権運営の主導権を握ろうとしたとみられる。
首相は藤井裕久前財務相が辞任した1月、仙谷由人行政刷新担当相に国家戦略担当相を兼務させるに当たって枝野氏の起用も検討した。しかし、この時点では小沢氏に配慮し、当面は枝野氏を首相補佐官に任命して仙谷氏を補佐させることにしていた。一転、予算審議の途中という異例のタイミングで閣僚の組み替えに動いたのは、小沢氏と「一蓮托生(いちれんたくしょう)」ではないことを示す好機ととらえたからだ。
今夏の参院選へ向け、鳩山政権が政権浮揚の切り札に位置付けるのが、天下りやむだ遣いの温床とされる公益法人の事業仕分けだ。首相は記者団に「民主党に対する信頼を再び回復し高めるために、できるだけ早く彼に陣頭指揮してもらいたいとの思いがあった」と枝野氏への期待を率直に語った。枝野氏も首相官邸で記者団に「行政刷新に対するこの政権の役割は大きい。着実に進めることが政権への期待と信頼を高めることになると思う」と抱負を語った。
仙谷氏は国家戦略と公務員制度改革の担当を続けるほか、鳩山首相が政権の理念として掲げる「新しい公共」担当を兼務することが決まった。仙谷、枝野両氏は鳩山首相や菅直人副総理兼財務相らと96年に旧民主党を結党したメンバー。内閣の中枢を「オリジナル民主党」で固めることで「小沢色」を薄める思惑もちらつく。非小沢系議員の一人は「小沢さんからうまく距離を取る絶妙な人事だ」と評価してみせた。(毎日)>
<民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記載事件で、政治資金規正法違反の罪で起訴された同党衆院議員、石川知裕被告は離党の意向を固め、10日午後にも都内で小沢氏に会って報告し、最終判断を仰ぐ。小沢氏は了承する見通しだ。
石川議員は10日朝、衆院へ現れ、通常国会への初登院の届けを行った。民主党幹部は同日午前、「石川議員は離党の意向を小沢幹事長に会って伝える。小沢氏は反対しない」と語った。
石川議員は9日夕、地元の北海道帯広市で記者会見し、「(進退は後援会と選挙区支部から)一任をもらったので自分自身で判断したい。(衆院議員としての)職責を果たしたい」と述べ、離党を示唆していた。その後、9日夜に空路上京し、党関係者と対応を協議していた。
野党側は引き続き、小沢氏の責任を追及し、石川議員についても議員辞職勧告決議案の採決を求めていく構えだ。(産経)>
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