4975 日米同盟は言葉だけでは維持できない 古沢襄

防衛大学を出て九州の部隊の一尉だった元幹部自衛官と雑談をしていたら「自衛官の投票率は100%に近いのですよ」と言っていた。投票日には部隊の全員が投票所に向かう風景がみられるという。反戦自衛官でないかぎり保守系の候補者に投票するのだろう。
その話を聞きながら、保守の心棒を失ったかにみえる自民党に投票する自衛官がどれだけいるのかな、ふっと思った。同時に民主党に投票する自衛官がいるのかな、と疑問を感じた。自衛官だけを対象にした政党支持率調査をやりたい誘惑に駆られる。
家族や親戚・縁者を含めれば、自衛隊の保守支持票は数十万票はある。比例区で一人は当選させるだけの選挙基盤を持っている。北沢防衛相は長野地方区から参院選に出馬するだろうから、長野県の部隊の票の出方が気になるところだろう。
私と雑談した元幹部自衛官は「防大同期から一佐が出ていますよ」と言っていた。一佐といえば旧軍の大佐である。連隊長クラスだから、兵隊たちから見れば雲の上のお偉方。時事通信は陸自第6師団第44普通科連隊の一佐殿が、日米同盟について『信頼してくれ』などという言葉だけで維持されるものではないと訓辞したという。
鳩山首相の「トラスト・ミイ」を意識した発言であろう。言葉だけでなく、米軍との日常訓練の中で日米同盟を維持する覚悟を述べたと言っていい。そのかぎりでは、非難されるいわれはない。
だが首相官邸筋や防衛省筋では、自衛隊の最高指揮官である首相に対する批判ではないかと気にしている。一佐殿の訓辞に対して陸自広報から「自衛隊の最高指揮官である首相の発言を引用したり批判したわけではない」とコメントが出た。
騒ぎ立てれば参院選で自衛隊の票が逃げるおそれがあるから痛し痒し。マスコミには騒ぎ立てて欲しくないというのが本音ではないか。
<陸上自衛隊幹部が10日、宮城県の陸自王城寺原演習場で始まった米陸軍との共同訓練開始式で訓示し、日米同盟に関して「『信頼してくれ』などという言葉だけで維持されるものではない」と発言した。
鳩山由紀夫首相が米軍普天間飛行場の移設問題について、昨年11月に来日したオバマ米大統領に対し「トラスト・ミー(わたしを信じて)」と述べたことが国内外で批判されている。こうした中での陸自幹部の発言は波紋を呼びそうだ。
発言した幹部は、陸自第6師団第44普通科連隊(福島市)の中沢剛連隊長(47)=1等陸佐=。「同盟というものは外交や政治的な美辞麗句で維持されるものではなく、ましてや『信頼してくれ』などという言葉だけで維持されるものではない」と訓示した。
中沢1佐は陸自広報を通じ、自身の発言について「自衛隊の最高指揮官である首相の発言を引用したり批判したわけではない」とコメントした。(時事)>
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