枝野行政刷新担当相の起用は、鳩山首相のヒット人事だったろう。だが後がいけない。石川議員の離党は一歩遅れた。さらに国会では与謝野馨元財務相の追及で、いつになく興奮して与党席から「冷静に冷静に」と声があがる始末。
勢いあまって「母に尋ねていただいても結構ですし・・・」と国会喚問を容認するような発言したり、与党席をみながら「この中に私からカネを貰った人はいない」・・・。真っ正面に座っている民主党理事・海江田万里氏に100万円、後ろに座っている平野官房長官は一〇〇〇万円の寄付を鳩山氏から受けている。
夜になって記者団から「貰った議員がいる」と指摘されて、「あれは党のお金。党からのお金を私の資金管理団体に入れ、そこを経由した」と苦しい言い訳をするはめとなった。平野官房長官も「よくわからない。首相から寄付を頂戴したことは法令にのっとってきちっと記載している」と困惑した表情。
<「脱税王だ」「総理の資格なし」。自民党は12日の衆院予算委員会で鳩山由紀夫首相を執拗(しつよう)に攻め立てた。母からの資金提供を「全く知らなかった」とする首相の発言を否定するかのように、弟の邦夫元総務相(自民党)の証言が登場。色をなして反論した首相が興奮のあまり、失言する場面もあった。
■与謝野氏が「秘話」披露
「邦夫さんがぼやくんですよ」。自民党の与謝野馨元財務相がこう切り出した。
「うちの兄貴はしょっちゅう、おっかさんの所へ行って『子分に配るカネが必要だ』とお金をもらっていた」
与謝野氏は首相の偽装献金事件で、邦夫氏から聞いたという話を衆院予算委で披露した。母からの巨額の資金提供について「天地神明に誓って知らない」と繰り返してきた首相発言を覆すのが狙いだ。
与謝野氏の質問に、首相は声を震わせて反論した。「全くの作り話です。こういう話をされると、私はもう、兄弟と言っても信じられない話になりますが、母に尋ねていただいても結構ですし……」
母の参考人招致になりかねないとみた民主党議員から、「冷静に冷静に」の声が上がり、首相は「わかりました。すいません」と一呼吸置くと、国内の震災支援への寄付を母に求めたことは「何度かある」と明かした。
首相への資金提供は2002~09年に計12億6千万円。首相は贈与とみなし、08年までの贈与税約5億7500万円を昨年末に納付した。ただ、資金提供について首相は先月21日の国会答弁でも「全く知らない」と強調し、「もし違うという事実が出てきたら、当然(議員)バッジをつけている資格はない」と言い切った。カネで困っていると母に言ったことも「一切ない」と答弁してきた。
一方、新たに登場した邦夫氏。与謝野氏の発言について12日、記者団に説明した。「1年半前か2年前、母が電話で『お兄さんは子分を養うためにお金がいるという。あなたはどうなの。子分いないからいらないの』と。『そういう子分はいないんだよなあ』と寂しかった。これが電話の事実です」「兄が(母に)無心したとか取りに行ったとかじゃなく、誰が言ったかは知らないが、とにかく『あなたはいらないの』と」
予算委での与謝野氏の首相批判は止まらなかった。
「民間の方なら十何億円も贈与を受けて知りませんて言ったら刑務所に行く」
「まさに平成の脱税王だ。総理の座に座っていることがおかしい」
■首相が啖呵
首相は「議員の中で私からもらった人はいない。だれにも差し上げていませんから」と啖呵(たんか)を切った。鳩山グループの議員にカネは配っていないと否定したのだ。
「まさに事実でない話をされるのは全く信じられない。なぜそんな話が出てくるのか」とも反論。与謝野氏が首相の元秘書の証言として「資金は自分のグループを中心に配っていた。鳩山本人から渡した分もある」と質問した際も、首相は「全く知らない」と突っぱねた。
ただ、首相の「もらった人はいない」という答弁は誤りだ。首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書によると、同会は08年10月、衆院予算委の民主党理事である海江田万里氏に100万円、岡島一正氏に50万円を寄付。平野博文官房長官には、幹事長時代の07年9月に1千万円を寄付している。
昼の休憩時、官邸に戻った首相は「つい興奮した」。夜になって記者団から「もらっている議員がいる」と指摘されると、「党のお金。党からのお金を私の資金管理団体に入れ、そこを経由した。すべて表になっている話だ」と釈明した。
一方、平野氏は記者会見で首相の発言の真意について、「よくわからない。私は首相からの(1千万円の)寄付について、ちょうだいしたことは法令にのっとってきちっと記載しているし、何も隠すことはない」と当惑した表情で語った。 (朝日)>
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