朝刊各紙とも長崎知事選で民主党が大敗したことを大きく報じている。さきの東京都町田市長選でも民主党の推薦候補が敗れた。二つの選挙とも民主党の厚い地盤で敗北を喫したのは、有権者とくに無党派層に意識変化が生じていることを示している。
地方の選挙と国政選挙は違うと言い訳をしている段階ではない。明らかに国民は「政治とカネ」の問題で民主党に不信感を突きつけている。その不信感は中途半端なものではない。長崎知事選で高投票率のもとで、民主党の推薦候補が予想を上回る大差で惨敗した現実を直視すべきである。
マスコミ各社は近く全国世論調査を行うであろう。国民の民主党に対する不信が数字となって現れるであろう。このまま参院選に突入すれば、民主党による単独過半数の夢が無惨にも打ち砕かれる。それは衆院で民主党が多数、参院では民主党はじめ与党が少数という自民党政権時代の”ねじれ現象”の再現につながる。
<長崎県知事選で与党推薦候補が大差で敗れたことは、内閣支持率下落に苦しむ鳩山政権にとって打撃となった。民主党内では鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の「政治とカネ」の問題が響いたとの見方がもっぱらで、夏の参院選に向け危機感が強まっている。党運営と選挙を一手に仕切る小沢氏の求心力低下につながるとの指摘も出ている。
民主党の輿石東参院議員会長は21日夜、取材に対し「地方選とはいえ、結果が国政や参院選に全く無関係とは言えない」と述べ、敗北が政権運営に与える影響を否定しなかった。同時に「2010年度予算案を一日も早く成立させ、政策実現に全力を挙げれば、必ずや国民の理解は得られる」と強調した。
小沢氏と距離を置く同党中堅は、敗因について「政治とカネの問題が直撃した。マイナスイメージがそのまま出た」と語った。
民主党は、昨年の衆院選で長崎県内の4選挙区すべてで勝利しており、知事選は「本来なら確実に勝てる選挙」(党幹部)と踏んでいた。
しかし、知事選が告示された4日に小沢氏の元秘書の石川知裕衆院議員ら3人が起訴された。選挙期間中は原口一博総務相や輿石氏ら閣僚・党幹部が現地入りし、政権与党への支持を訴えたが、首相の偽装献金事件と併せて、逆風をまともに受けることになった。
また、21日は小沢氏自身がてこ入れした東京都町田市長選でも推薦候補が敗れ、都市部でも民主党の勢いがそがれつつあることを裏付けた。石井一選対委員長は同日夜、知事選敗北を受けて「厳粛に受け止め、今後の糧とする」との談話を発表したが、党内には「このままだと、桜が咲く前には、小沢氏では参院選を戦えないという話になるんじゃないか」(中堅)と、小沢氏の進退問題が再燃するとの見方も出始めている。(時事)>
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