5067 中国に広がる干魃被害 宮崎正弘

貴州省、甘粛省で三ヶ月も雨が降らず、干魃被害が農地を襲っている。他方、珠海デルタでは2千万人の労働者が帰省先から輸出工場に戻らない。人民日報英語版などが公式に干魃の報道を始めた。
貴州省南部の苗族自治区では153万人が水不足に悩み、川底にも地割れができて、穀物が枯れている。その被害面積は400万ムーに及ぶ(チャイナ・ディリー、2月23日)。75万頭の家畜の成育も危ぶまれている。
甘粛省ではこの三ヶ月間、一滴の雨も降らず農民が困窮している。干魃被害は甘粛省の全農地の三分の一、130万ヘクタールに達する(人民日報英語版、2月24日付け)。
飲み水はミネラルウォーターを購入してまかなっているため、息子らが広州で働いてきた給金の殆どが水代に消えたという嗤えない話。深刻な水不足に困窮している農民が72000人。
雲南省の水不足はもっと深刻で過去60年なかった被害という。「半年、風呂に入っていない」という農民が殆ど。しかも向こう十日間、雨の予報はない。
他方、旧正月休みがあけた華南の工業地帯。
予測されたように労働者が戻らず、工場の稼働に支障がでている。広州の企業の80%が人手不足に悩み、つねに募集をかけているが、地方労働者が華南にもどる気配がない。
「労働者がつぎの現場を探すのは自由であり、どこへ行こうが現代中国のメカニズムでは労働移動をとめることはできない」。
湖北省はかつて華南への大労働輸出基地だった。1270万人が移民労働として登録されていた。
四川省から広東省へむかった労働者は08年が700万人。それが09年には500万人に。つまり200万人は、ほかの条件が良い現場へ向かったことになる。
「四川省での最低賃金は1000元になった。これなら華南へ出稼ぎに行かなくてもいい条件だ」(浙江省の最低賃金が890元)として地元企業で働く四川省のひとびとも増えた。
公式見解は言う。「これは中央政府の内陸部への工場移転政策が成功した証拠である」と。
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