五輪フィギュアでキム・ヨナが完ぺき演技で世界歴代最高点を取ったと韓国は高揚感に包まれている。高がスポーツではないか・・・国と国が威信をかけてトップ争いする性質のものではない。キム・ヨナも真央も氷上で最高の演技をした。フリーで二人とも最高の演技をみせてほしい・・・と思うのが、スポーツを鑑賞する観衆のマナーであろう。
バンクーバーから送ってきた朝鮮日報のウ・チュンウォン記者の記事を読みながら、一年前にロサンゼルスから送ってきたチョ・ヒョンサム記者の「ヨナと真央はライバルというが…」(2009・3・31)の記事を思いだした。
前者は熱くなりやすい韓国人の典型。キム・ヨナの演技に厳しい判定を下すスイスのマリアム審判にいちゃもんをつけた。後者は「真央とキム・ヨナの国境を越えた友情」を描いてみせた。
真央がショートプログラムで三回転半のジャンプを成功させ、割れるような拍手を受けたすぐ後に氷上で演技をせねばならないキム・ヨナだったが、それを跳ね返して最高の演技をしたヨナの精神力と集中力には驚くしかない。二人ともまだ19歳の娘さんである。
高がスポーツなのだが、やはり二人の演技には魅了される。そこへ国の威信などは持ち込んで貰いたくない。スポーツに国の威信を持ち込むのは、三等国の国民がすることである。
<完ぺきと言っていい、非常に質の高い演技だった。
バンクーバー冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルは24日(韓国時間)、パシフィック・コロシアムでショートプログラム(SP)が行われ、キム・ヨナは安定した演技で技術点(TES)44.70点、構成点(PCS)33.80点の計78.50点をマークし、首位に立った。
キム・ヨナの78.50という得点は、フィギュア女子のSPの世界歴代最高点。この日のキム・ヨナは全くのノーミスで、安定した技術と高い芸術性で高得点をマークした。
バンクーバー五輪の審判団には、キム・ヨナにとって「相性の悪い」審判がいる。テクニカル・スペシャリストのロリオル・オーバーウィラー・マリアム氏(スイス)だ。世界最高の演技と技術を見せるキム・ヨナに対し、厳しいジャッジを下してきた。
2008年11月のグランプリ(GP)シリーズ第3戦のSPでは、キム・ヨナはトリプルフリップ-トリプルトーループの連続ジャンプをきれいに決めたが、「ロングエッジ(エッジの使い方の誤り)」の判定で減点。また、フリーの演技でもエッジに関して問題ありとの判定を受けた。
当時、キム・ヨナに減点やアテンションマーク(要注意)を付けた審判が、このマリアム氏だ。昨年末のGPファイナルでもダウングレードの判定を下した。当時の審判団9人のうち、8人がキム・ヨナのルッツに加点し「完ぺき」と評価したのに対し、マリアム氏だけは違っていた。
だが、今回の五輪でキム・ヨナは、より優れた演技で完ぺきな滑りを見せた。結局キム・ヨナは、実力で審判との対決にも「勝利」。SPを完ぺきに決めたキム・ヨナは26日(韓国時間)、金メダルへ向けてフリーの演技に臨む。(朝鮮日報)>
<<真央とキム・ヨナの国境を越えた友情 古沢襄 2009.03.31 Tuesday name : kajikablog
相手が日本となると異常なくらい熱くなる韓国。ベースボールにしてもフィギュアスケートにしても、日本に負ければ国辱ものだといきり立つ。皮肉な言い方と聞こえるかもしれないが、不調の真央ちゃんがキム・ヨナに負けて良かったと思う。
WBCで世界一になって、そのうえフィギュアスケートで真央ちゃんが宿命のライバル・キム・ヨナを下していたら、日本中が喜びに沸くだろうが、韓国は納まらない。韓国メデイアは前回大会でも練習中にキム・ヨナが、日本人選手に妨害行為を受けたと大騒ぎしていた。
高がスポーツではないか、と思うのだが、熱くなりやすい韓国人である。日本なら、なかにし礼のように浅田真央は嫌いだが、キム・ヨナは好きと言う者もいる。私などは18歳になって、すっかり娘さんらしくなった真央ちゃんのフィギュアスケートに魅了される。
キム・ヨナとのライバル対決なんてどうでもいい。傑出した二人なのだから、仲良くした方がいいと思うのだが・・・。
朝鮮日報の記者にも同じ様なことを思う人がいた。ロサンゼルスからチョ・ヒョンサム記者が、「ヨナと真央はライバルというが…」の解説記事を書いていた。>>
<韓国と日本の微妙な関係を象徴するかのように、フィギュアスケートファンにとって、キム・ヨナと浅田真央は宿命のライバルと認識されている。しかし実際は必ずしもそうではない。
キム・ヨナはジュニアで活躍していた当時から浅田と何度も対戦してきた。国際的な舞台で優勝争いを展開するようになってから、すでに10年が過ぎようとしている。フィギュアに関しては誰よりもお互いをよく知る関係だ。
しかし二人の関係をライバルと断定するにはあまりにも誇張されている。また、友人とするのもしっくりこない。
何よりも、二人は自分の世界に入る傾向がある。練習では回りを意識する行動は取らない。周囲が練習に注目することはあるが、それでもあまり意に介さない。自然とライバルとの勝負よりも自分との戦いになる。
もちろん、大会本番ではそんなことは言っていられない。キム・ヨナはほかの種目に出場する選手たちには気軽にあいさつし、応援したりもするが、同じ女子シングルに出場する浅田に対してはそうではない。大会中は最低限の緊張感を維持する必要があるからだ。
キム・ヨナのマネジメントを担当するIBスポーツの関係者は、「キム・ヨナは浅田に過剰なライバル意識は持っていない。大会前に簡単なあいさつをする程度」と述べた。今回の世界選手権でも同様だ。キム・ヨナはリンクの近くで浅田と顔を合わせると、簡単なあいさつをするにとどまった。
しかし大会が終わると同い年の親しい友人に戻る。大会終了後に行われる公式パーティーでは、二人は楽しく会話を交わし、共に写真を撮りながら過ごす。このときだけはライバルではなく友人になる。
しかし今大会ではそのパーティーも簡略化され、二人がリラックスして顔を合わせる時間はないかもしれない。大会組織委員会はブライアン・オーサー・コーチをはじめ6人のフィギュアスケート殿堂入りを祝う行事をパーティーに変える予定だという。
二人の国境を越えた友情は現在も進行中だ。(朝鮮日報)>
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