5111 再び注目を集める輿石氏の問題について 阿比留瑠比

今回は、当ブログ(国を憂い、われとわが身を甘やかすの記)にとって、記念すべき(?)第1000回目のエントリとなります。18年5月22日の第1回から3年9カ月余で累計アクセス数は1648万余を数えました。途中、何度かいやになったこともありましたが、よくもまあ、ここまで続いたものだと思います。訪問者のみなさんに改めて感謝します。ありがとうございます。
もともと、社命でこのブログを始めた際、最も書きたかったことの一つは、中学生時代から関心を持ってきた日教組問題についてでした。当時は、産経がいくら山梨県教職員組合の異様な県政支配、法令違反や文部科学省の指導など全く歯牙にかけない選挙活動に関して書いても、他紙は「日教組タブー」でもあるかのように無関心でした。なので、ブログで紙面に書き切れなかったことを発信し、少しでも多くの人と問題意識を共有したいという願いがありました。
それから現在までの時代の変化、政治状況の推移で、この問題のメディアの扱い方も随分変わってきたようです。昨日の北海道教職員組合幹部らの逮捕に関しては今朝の朝刊で、産経のほか読売、毎日、東京の各紙も1面トップで報じています。山教組のときも現在のような報じ方がされれば、民主党の輿石東氏が次期参院議長の最有力候補に擬せられるようなことはなかっただろうにとも感じるくらいです。
とはいえ、北教組事件は、多くの人に山教組事件を想起させるようで、再び輿石氏の問題もスポットライトを浴びつつあるようですね。輿石氏自身は北教組事件について昨日も「コメントする必要はない」と逃げたようですが。そこで本日は、各紙の社説から関連部分を拾って紹介します。
■2月18日付産経 《違法な資金提供は、組合員のカンパなどを裏金化していたという。日教組傘下の組合では平成18年、山梨県教組の元財政部長らが同教組出身の民主党の輿石東参院議員会長を支援するため、組合員から集めた寄付金を収支報告書に記載せず規正法違反で略式起訴され、罰金刑を受けている。北教組を含め教組の裏金について詳しい解明が必要だ。
輿石氏は昨年1月の日教組集会で「(日教組は)政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立はありえない」と述べたほか、今年の集会では、教育が夏の参院選の争点になるとし、「いよいよ日教組の出番だ」などと発言している。政治活動をあおっているとしか思えない。耳を疑う発言である》
■2月24日付読売 《教職員組合に絡む政治資金規正法違反事件は、6年前の参院選でも起きている。
当時の山梨県教組財政部長ら2人が、民主党の輿石東参院議員会長を支援する政治団体の収支報告書に教員らの寄付を記載せず、罰金の略式命令を受けた。事件に関連し、20人以上が教育公務員特例法違反などで処分された》
■2月26日付朝日 《04年の参院選前には、山梨県教職員組合などでつくる政治団体が、教員から集めた寄付を収支報告書に記載していなかった》
■3月2日付毎日 《教組に絡む事件は初めてではない。04年の参院選で、山梨県教組幹部らが、民主党の輿石東参院議員会長支援のために集めた寄付金を政治団体の収支報告書に記載せず罰金の略式命令を受けた。日教組は自浄能力を発揮して、まず自ら全国調査をし、きちんと説明してほしい》
■3月2日付東京 《今回の事件は、6年前に山梨県教組の幹部が、民主党の輿石東議員を支援するために起こした規正法違反事件を想起させる。日本教職員組合が支持母体の輿石氏は、参院議員会長を務める》
…さて、こうした事態を受けて鳩山首相は昨日の衆院予算委員会で、教員の政治活動に関して「法令順守が十分でなければ、法改正の必要性を文科相に検討させる」と罰則規定の盛り込みを検討する考えを表明しました。教員の政治的行為は、国家公務員と同様制限されていますが、違反に対する罰則は国家公務員だけを対象とし、教員には適用されないことになっているからです。
でも、日教組を支持基盤にしている民主党にそれができるでしょうか。民主党の日教組議員では、輿石氏のほかに那谷屋正義参院議員の選挙をめぐっても04年、神奈川県教組委員長が公選法違反(買収など)で逮捕され、有罪判決を受けています。有力支持団体が嫌がることを、鳩山首相が果たして押し通せるかどうか。
そもそも、輿石氏の件を産経が報道した際に、民主党の当時の代表だった岡田克也外相は記者会見で「自民党なり某所周辺が、民主党の政治とカネをめぐる問題について、何か対抗策として打ち出せるものがないかということで調査していたことは承知しています」と〝陰謀説〟をにおわせて輿石氏を不問に付しました。さらに、後任の小沢一郎代表(現幹事長)は輿石氏を幹事長から参院議員会長へと昇任させるなど、一切、自浄能力は発揮しませんでした。
今回の北教組事件も、こうした身内に甘く、正当な批判や追及をも陰謀だの国策捜査だのと決めつけたがる民主党のある一面を表している気もするのです。角田義一元参院副議長の裏帳簿事件の際も、全然、事実解明を行おうとしませんでしたし、小沢氏の件も石川知裕氏の件もそうですしね。まあ、今後の展開に注目します。
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