湾岸の盟主=サウジアラビアはペルシア帝国の復活を恐れる。ゲーツ国防長官はリヤドで防御態勢の強固な支援を約束した。
湾岸にはイランの脅威が拡がっている。3月10日、アフガニスタン訪問を終えたゲーツ米国防長官はサウジアラビアの首都リヤドを訪問し、アブドラ国王、スルタン皇太子に拝謁し、サウジ防御への協力を話し合った。
ゲーツのリヤド入りの前にはペトロウス中央軍司令官、ヒラリー国務長官、マイク・ムラン統幕議長らもサウジを訪問している。異常なほどのサウジ重視はなにを物語るのか?
米国は核兵器開発を続行するイラン制裁を国連の場で採決したいが、ロシアが非協力的であり、中国が反対している。とくにイランの石油は中国が最大の買い手。中国はイランに長距離ミサイルなど、夥しい武器を供与している。
サウジアラビアはスンニ派で、敵対的なイランのシーア派が国内ならびに湾岸諸国に浸透することを極度に警戒している。世界最大の産油国サウジを防衛することは米国外交の中軸におかれている。
他方、ペルシア帝国の復活をかけて、隣国のイラク南部へシーア派の影響力を浸透させたイランは、アハマドネジャッド大統領が、ゲーツの訪問終了翌日にカブールを訪問して、カルザイ大統領と会談した。
イラクでは国会議員(定員325)の選挙が行われ、対米協力姿勢のマリキ首相が主導のスンニ派連立勢力がやや優勢だが、チャラビ率いるシーア派連合も健闘しており、政情不安はかわらず、辛うじてイラクの石油生産が日量240万バーレルにまで回復した。
この趨勢を判断材料としたのか、ロイヤル・ダッチ・シェルとインガソル・ランドはイランにおける石油生産を中止、あるいは中断する旨の発表を行った(10日、ヘラルドトリビューン)。
サウジアラビアへ米国が新しく供与する武器システムの明細は不明だが、陸海空の全領域にわたって最新鋭武器システムに変革する傾向は確実とみられる。
とくにイランからのミサイル防衛に米国はカタール、UAE、バーレン、クエートの四カ国にもミサイル防衛システム構築を構想していると事情通は判断している。
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5169 サウジ・米国VSイラン・中国の構図 宮崎正弘

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