普天間移設で平野官房長官が検討しているといわれる勝連沖を埋め立て案は、沖縄商工会議所の太田範雄名誉会頭が過去に提起した案と酷似しているという。
太田氏も15日、沖縄タイムスの取材に対し「平野氏側近の元国会議員に案を説明した」と周辺との接触があったことを明らかにした。
これに対して仲井真弘多知事は「だれが(平野私案を)マスコミに伝えているのか。なぜ、われわれには説明がないんだと(平野氏に)クレームをつけてきたが、ちゃんとした返事はなかった」と不快感を示した。
【中部】米軍普天間飛行場の代替施設として平野博文官房長官が検討している、勝連沖を埋め立てて航空自衛隊那覇基地や米軍那覇港湾施設(那覇軍港)を移転、併設する案は、沖縄商工会議所の太田範雄名誉会頭が過去に提起した案と酷似している。太田氏は15日、沖縄タイムスの取材に対し「平野氏側近の元国会議員に案を説明した」と周辺との接触があったことを明らかにした。
10日に平野氏と会談した喜納昌吉参院議員(民主)によると、平野氏は「首長や漁協なども反対していない」と述べたという。これに対し島袋俊夫うるま市長、勝連漁協の赤嶺博之組合長は15日、同案に明確に反対しており、平野氏の認識には疑問符も付く。
太田氏が2003年に検討したのは、浜比嘉島の1・5キロ東側、浮原島と宮城島の間のリーフ内を埋め立てる案。普天間飛行場(480ヘクタール)の2倍以上に当たる約1210ヘクタールの人工島に、ヘリポートを建設して普天間のヘリ部隊を移転。その後ろに3600メートル級滑走路を2本建設し、空自や那覇軍港の機能なども移す内容で、平野氏の私案と一致する。
同案は米軍再編中間報告前の05年に、元在沖四軍調整官のグレグソン米国防次官補が関心を示し、太田氏に資料請求した経緯もある。
太田氏は大規模な機能移転が難しい場合は、普天間のヘリ部隊だけを対象に1800メートルの滑走路1本を同海域に建設する「縮小案」も想定。すでに与党関係者に説明している。
ただ、同案は県内への米軍基地の新設に当たる上、周辺海域でさかんなモズク養殖への影響も必至。赤嶺組合長は「海を埋め立てると漁ができなくなる。金銭補償は一時的。きれいな海を無くしては子や孫に申し訳ない」と憤る。島袋市長も15日の市議会で、市内の米軍と自衛隊施設を挙げ「陸海空すべてにおいて、うるま市は沖縄の基地負担の象徴。基地をこれ以上受け入れる余地はない」と反対姿勢を明確にした。
政府内でも「現場は360度海に囲まれており、環境保護団体の抗議行動を防げない」(防衛省幹部)と否定的な見方が大勢だ。
「中身知らぬ」知事が不快感
米軍普天間飛行場の移設問題で、平野博文官房長官が、うるま市の米軍ホワイトビーチ沖合を埋め立てて、普天間と航空自衛隊那覇基地などを移設する案を民主党県連に伝えていたことについて、仲井真弘多知事は15日、「だれがマスコミに伝えているのか。なぜ、われわれには説明がないんだと(平野氏に)クレームをつけてきたが、ちゃんとした返事はなかった」と不快感を示した。記者団に述べた。
知事は5日上京した際、勝連沖案に「かなり無理筋のような気がする」と述べていたが、15日は「(無理筋とは)言っていないと思う。中身を知らないからコメントのしようがない」と述べた。(沖縄タイムス)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
5195 普天間移設で平野私案? 沖縄タイムスが 古沢襄

コメント