5199 米国はイスラエルを敵に回せるのか? 宮崎正弘

強硬姿勢、ヒラリー国務長官が一転して軟化へ。正面に見据える敵は少ない方が良い。
米国の真っ正面の敵は嘗てソ連、いまはテロリスト、アルカィーダ、タリバンだ。潜在的はパキスタン、パレスチナ。敵対的競合的関係はロシア、中国、ベネズエラ・・・。
ならばイスラエルを敵に回すのか?いや米国外交にそれほどの余裕があるのか。
 
3月12日にヒラリー米国務長官はCNNテレビのインタビューに出演し、おりからのバイデン副大統領イスラエル訪問中に東エルサレムで新入植地建設を発表したイスラエルの対応は「侮辱的だ」と批判した。
 
その日、ネタニヤフ首相と緊急に電話会談し(電話は五十分に及んだ)、「イスラエル政府は言葉だけではなく、具体的な行動を示す必要がある」と入植中止を仄めかし、イスラエルは態度を硬化させた。
ヒラリーはネタニヤフ首相に対して「米国は(入植地建設の)発表を、二国間関係の取り組みに対するイスラエルの非常に否定的なシグナルと考える」とした。
イスラエル・パレスチナ和平交渉は米国が仲介した暗礁に乗り上げたまま。そうこうしているうちに東エルサレムへの新入植地建設を発表したため、国連、欧州連合(EU)、ロシア、米国の4者グループも「イスラエルの決定を非難する」と声明をだした。
ところが四日後、ヒラリー国務長官はイスラエルとの関係に言及し、「緊密で揺るぎない絆が両国間には存在する」として関係悪化説を否定した。「米国はイスラエルの生存に深く関心を共有し、絶対的にイスラエルの安全に関与していることに変化はない」
3月16日、東エルサレムではアラブ系民衆と警官隊が激しく衝突し数十名が重軽傷を負っている。警官隊は三千が動員され、ゴム強化弾、催涙ガスなどで暴徒を鎮圧したが、旧市街を中心に暴動は拡大している。
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