このところ米国内から北朝鮮危機説が出ている。韓国の朝鮮日報はワシントンから「北朝鮮指導部内に突然亀裂が入ることもあり得る」という米シンクタンクの見解を報じている。
訪韓したキャンベル米国務次官補も金正日総書記の健康について、寿命はあと三年ぐらいだろうと、述べたという。在韓米軍が昨年末から韓国に対し、北朝鮮の急変事態に備える米韓合同の訓練を提案しているのも、「金総書記の寿命」に対する判断と関連があるとされている。
北朝鮮の国内で異変が生じた場合には、在韓米軍と韓国軍の間で急変事態に備えた「作戦計画5029」が策定されているが、有事の際に核兵器や化学兵器など、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)の除去を専門に行う特殊部隊の行動が焦点となる。
朝鮮半島有事の場合には、在日米軍も連動して行動するのは明らかである。普天間移設で政府案が決め切れないでいる鳩山政権にとっては、関心の外の話なのであろう。
<(ワシントン朝鮮日報)国際的な非政府組織(NGO)のシンクタンク、国際危機グループ(ICG)は15日、「北朝鮮で今すぐ起きるとは思われないが、党や軍のエリートは忠誠を誓っているものの、北朝鮮指導部内に突然亀裂が入ることもあり得る」という見解を示した。
ICGは同日、「厳しい制裁を受けている北朝鮮」と題する報告書で、「北朝鮮は国際的な制裁や間違った政策選択で揺れている」とし、上の通り分析した。ICGのロバート・テンプラー・アジア担当局長は、「北朝鮮の情勢不安定、クーデター、ひいては政権崩壊も、ある程度進むまでは外部から観測できないだろう。こうしたシナリオは、国際的介入を求める人道主義の立場が原因となる非常事態を発生させる可能性がある」と警告した。
この報告書は、「国際的制裁は北朝鮮の外貨収入を減らし、北朝鮮住民数百万人を救う人道主義的支援も政治的な理由や寄付者たちの『対北朝鮮支援疲れ』で減退した」と指摘している。また、「北朝鮮は、国際制裁によるコストを北朝鮮社会で最も弱い住民個人に押し付けることに慣れている」と表現した。ICGのダニエル・ピンクストン北東アジア担当局長は「北朝鮮政府は現在、個別には管理可能な複数の国内問題に直面しているが、こうした事案が一気に噴出すれば、政権の存続を脅かす可能性もある」と語った。
さらにこの報告書は、韓半島(朝鮮半島)で戦争が発生する可能性について、「韓半島では(軍事的な)パワーバランスが北朝鮮に不利な状況のため、戦争が始まれば負けると分かっている北朝鮮指導部が戦争を起こすとは考えられない」と分析した。>
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5205 北朝鮮指導部内に突然亀裂が入ることもあり得る 古沢襄

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