今度はS&P(スタンダード&プア)が中国の不良債権増大を警告。それでも「まだ管理可能」とリップ・サービスの修飾語。
S&Pは中国の銀行が保有する不良債権が増大していると警告を発した(ウォールストリート・ジャーナル、3月19日付け)。
米国のエコノミストが奥歯にもののはさまったような言い方しかしないのも、財務省が中国への姿勢を変えず、中国をちっとも非難しないからである。
実態は小誌で何回か指摘しているので省略するが、昨年に邦貨換算で130兆円の貸し出しをしており、ことしも110兆円の通貨供給増大を計画している。
となればいずれ不良債権化するのは時間の問題。インフレ抑制の実現にしても、人民元切り上げがないと、政策的に不可能である。
しかしS&Pは報告書の中で「それでもまだ管理可能」という奇妙な修飾語を用いており、この行間を深読みすれば「管理不可能と言うべきだが」というニュアンスの裏返しではないのか。
人民銀行副総裁は訪米前の記者会見で「人民元切り上げはない」と言明し、同日(3月18日)清華大学で講演したハンツマン駐北京米国大使は「人民元はもっとフレキシブルに」と述べたあと、「米中関係は青空が見える」と抽象的な物言いに終始した。
こうみてくると人民元切り上げ問題は、日本から想像してきた以上の深刻な状況が米中間に存在している事実を物語っている。
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