5235 オバマ政権の中国観は分裂気味 古森義久

日本の安全保障は中国をどうみるかで政策が変わってきます。アメリカにとっても同様です。ではオバマ政権は中国の存在を安全保障の観点からどうみるのか。
さらにはオバマ政権は日本の安全保障にとっての中国の動向をどうみるのか。数日前にアメリカ議会の公聴会でその点に関する興味ある質疑応答がありました。結論を先に述べるならば、オバマ政権は足並みの乱れをみせ、やや分裂気味という印象でした。
【ワシントン=古森義久】米議会が17日に開いた日米関係に関する公聴会では、オバマ政権の高官2人が普天間飛行場移設問題で現行案を最善とみなすという証言を繰り返した。
同時に日本の安全保障にとって中国が脅威かどうかをめぐり、議会側との質疑応答で国務省、国防総省に認識のズレがあることも表面化した。
下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会が開いた同公聴会では、オバマ政権を代表してジョセフ・ドノバン国務次官補代理とマイケル・シファー国防次官補代理が証言し、ともに日米同盟の重要性を強調した。
普天間問題についてはドノバン氏が「米国側は移転先についての最善の選択は明確にしている」と述べ、オバマ政権として日米両政府がすでに合意した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移転をあくまで求めていることを強調した。
議員側からの「米側に代替案はあるのか」という質問に対し、シファー氏は「鳩山政権の5月末までに決めるという政策を尊重し、日本側の案を議論する用意はあるが、米側として在日米軍再編のロードマップ(行程表)の推進方針に変わりはない」と代案がないことを認めた。
この普天間論議の過程で、デーナ・ローラバッカー議員(共和党)が「中国が独裁政権の下で軍拡を進め、南シナ海や東シナ海で領有権を拡大するなど勢力を広げ、東アジアや日本にも脅威になっていると思うが、オバマ政権としての見解はどうか」と質問した。
ドノバン国務次官補代理は「日本が中国をはじめ近隣諸国との関係を改善することは米国として歓迎する」と述べ、「中国は日本への脅威ではないと思う」と答えた。
一方、シファー国防次官補代理は「中国が軍の近代化の目標の下に軍拡を進め、特に米軍に対する接近阻止の軍事能力を高めていることは米国だけでなく東アジアや日本の安全保障にとっても挑戦であり、懸念を感じている」と答え、同じオバマ政権でも中国の軍事動向に対して微妙な認識のズレがあることを示した。
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