政治とカネの問題で、何ひとつケジメをつけていないことが、鳩山内閣の支持率が急低下した原因だが、同時に沖縄の米軍普天間飛行場の移設で、昨年の候運挙で「県外移設」を強く訴えた鳩山氏が、「県内移設」に傾いたとみられることの不信感が呼ぶ結果となっている。
この問題で産経新聞の三つの記事が実情をよく伝えている。
一つは民主党沖縄県連代表の喜納昌吉参院議員が、鳩山首相が昨年の衆院選で訴えた「県外移設」が実現しない場合は、内閣総辞職すべきだと述べたことである。参院議員会館で記者団に語った。
喜納氏はこれに先立ち、小沢幹事長にも会っている。小沢氏は「そうだよな。鳩山首相も選挙前は県外とずっと言っていたもんな。その思いを受け止めて政府に伝える」と述べたという。「沖縄での民主党に対する風当たりは大変なものだ」とも伝えたが、小沢氏は「うん」と深くうなずいている。
次の記事は、「いかに県外に出すか…混迷続く普天間移設 関係者は疑心暗鬼」という解説。共同通信社ヘリから撮影した沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の写真が付いている。
この期に及んでも鳩山首相は本音を語らず、国会審議などで、実現性の薄くなった「県外移設」などの建前をいまだに繰り返している。政府の議論も首相の本音も不透明なまま、関係者には疑心暗鬼が広がっている・・・という内容。
これで三月末までに政府方針が決められるものだろうか。すっかりサジを投げたのか、岡田外相はもっぱら日米核密約の古証文漁りに熱中している。公明党の浜田昌良氏が「国民が知りたい密約は(日米核密約の)古文書ではなく、今まさに議論している普天間問題のことだ」と斬り込んでいたのが象徴的であった。
民主党内に激震が走った生方(うぶかた)幸夫副幹事長の解任騒ぎは、解任撤回で一件落着かに見えたが、根っこの問題が解決していない。「政治とカネ」の問題について、小沢氏は証人喚問や参考人招致などの国会招致に応じるべきだと生方氏はあらためて唱えた。
この要請が受け入れられない場合は「幹事長を支えられるのかという判断をする。一緒に(仕事が)できないなら辞めざるを得ない」と、今度は自分から副幹事長を辞任する可能性に言及している。火はまだくすぶり続けている。
<民主党沖縄県連代表の喜納(きな)昌吉参院議員は24日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題に関し、「公約を守れないものがどうして存在できるのか。そういう内閣は代わった方が民主党の未来にとっていい」と述べ、鳩山由紀夫首相が昨年の衆院選で訴えた「県外移設」が実現しない場合は、内閣総辞職すべきだとの考えを示した。参院議員会館で記者団に語った。
これに先立ち、喜納氏らは国会内で同党の小沢一郎幹事長と会談。県外・国外移設実現に向けて指導力を発揮するよう申し入れた。小沢氏は「そうだよな。鳩山首相も選挙前は県外とずっと言っていたもんな。その思いを受け止めて政府に伝える」と述べたという。
また、国会議員らが夏の参院選に関し「沖縄での民主党に対する風当たりは大変なものだ」と伝えたが、小沢氏は「うん」と深くうなずいたという。>
<米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相は23日夜、関係閣僚と協議し最終的な調整作業に着手した。だが、この夜の協議では首相は本音を語らず、国会審議などで、実現性の薄くなった「県外移設」などの建前をいまだに繰り返している。政府の議論も首相の本音も不透明なまま、関係者には疑心暗鬼が広がっている。
「これから真剣勝負で、選択肢を定めたときは、生きるか死ぬかの論争、激論になる。最終的に国民の皆さん、沖縄の皆さん、米国の皆さんに理解いただけるものに仕立て上げたい」
23日の参院予算委員会の集中審議(外交・防衛)。鳩山首相は「5月末までに結論を出す」とした自身の“公約”の実現に向け、改めて決意を強調した。
ただ、野党からは「首相ではなく、失礼ながら夢想家の発想だ」(自民党の川口順子氏)、「外交は希望的観測だけでできない。軽々しい発言は慎むべきだ」(自民党の山本一太氏)などの批判が飛び交った。
首相はその後、普天間問題で平野博文官房長官、岡田克也外相、北沢俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相と詰めの調整に入った。意思統一を図り、早期に米政府や地元・沖縄などとの本格的な交渉を急ぐ考えだ。
ただ出席者の一人は「首相は何も言わず、聞き役だった」と振り返る。「名護市辺野古か別の場所かという単純な話ではない。いかに普天間の代替施設を、できるだけ県外に出すかを考えている」と語り、移設先を収斂(しゅうれん)させるにはなお時間がかかることを示唆した。
首相は予算委で「県外移設は難しいが、あきらめてはいない」と答弁した。しかも関係閣僚との協議を含む政府案を公表せず、交渉を水面下で進める考えも表明した。県外移設に向けて勝算があるのか分からないまま強弁を続ける首相の姿勢に対し、関係者の不信感は強まるばかりだ。
また、首相は封印している常時駐留なき安全保障論について「一国の領土に他国の軍隊が居続けることは決して常識的ではない。その思いだけは忘れてはならないというのが私の信念だ」と答弁した。在日米軍再編を進める米政府をいたずらに刺激することになりそうだ。
迷走が続いてきた政府の対応に、公明党の浜田昌良氏はこう切り込んだ。「国民が知りたい密約は(日米核密約の)古文書ではなく、今まさに議論している普天間問題のことだ」>
<民主党の生方(うぶかた)幸夫副幹事長は24日、民放テレビ番組に相次いで出演するとともに記者団の取材に応じ、小沢一郎幹事長の「政治とカネ」の問題について、小沢氏は証人喚問や参考人招致などの国会招致に応じるべきだとの考えを示した。また、自身の副幹事長解任の方針決定に動いた高嶋良充筆頭副幹事長らは国民に謝罪すべきだと指摘した。
生方氏は、29日に予定される党正副幹事長会議で、小沢氏に「政治とカネ」の問題について、国会で説明責任を果たすよう要請する考えを表明。「参考人招致、証人喚問の形で(小沢氏が)言えば、そこで言ったことは事実だろうから、国民も納得がいく」と述べた。それでも国民の理解が得られなければ、「上に立つ者としてしっかり判断してほしい」と、辞任が望ましいとの認識を示した。
要請が受け入れられない場合については「幹事長を支えられるのかという判断をする。一緒に(仕事が)できないなら辞めざるを得ない」と、副幹事長辞任の可能性に言及した。
生方氏は高嶋氏について「自分で(私に)辞めろと言った。辞めなくてよくなったのなら、私に理由を言うのが当然だ(がそれがない)。間違った判断をした人は『迷惑をかけて申し訳ない』と国民に言ってほしい」と述べた。
高嶋氏が小沢氏の意向を忖度(そんたく)して解任に動いたとの見方には「間違えて忖度したのなら(小沢氏は)『私はそんなこと思っていない』と言わないと訳が分からない。小沢氏はもっと自分の考えをしゃべらなければ」と注文をつけた。
一方、民主党幹部には生方氏の言動を批判的にみる向きが強く、平田健二参院国対委員長は記者会見で「彼の人間性だからあまり論評したくない。無視する」と不快感を示した。(産経)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
5245 まだ混迷が続く民主党内 古沢襄

コメント