5253 「人民元経済圏」に日本企業の一部も入る? 宮崎正弘

日本企業が「人民元」の貿易決済開始。ついに日本も「人民元経済圏」入り?米国は為替操作国に中国を認定するのか、しないのか。
4月15日、財務省は「為替操作国リスト」を発表する。これは年二回の報告書で、過去二年間、米国は中国をリストからはずし「為替を不当にやすく操作している」と認定しなかった。
しかし次はどうだろう?3月24日に開催された連邦議会下院公聴会にはエコノミスト、通貨専門家、歴史家が証言台にたち、中国は明らかに通貨を不当にやすく操作しているとした。
しかしながら「性急なる切り上げ要求や報復関税措置は賢明ではなく、IMFやWTOなど国際機関での討論を通じるべきだろう」と結論した。
フレッド・バーグステン(カーター政権下で財務次官)は、「切り上げが実現すれば米国の失業が減少する」と述べた。その理由は「人民元は40%安く、貿易バランスで比較すると25%過小評価されているから計算上、米国の経常収支の赤字は1000億ドル以上減らせる。あまつさえ人民元が切り上げになると、米国内では60万人から120万人の新しい雇用が生まれる」
歴史家のニアル・ファーガソン(ハーバード大学教授)は「しかし人民元切り上げを強要すると中国の経済回復は終焉をむかえるだろう」と皮肉な予測をつけくわえた。
連邦議会には人民元切り上げに同意する通貨タカ派が多いが、専門家を呼んだ公聴会では穏やかに意見を聞くだけに終わった。
この米議会公聴会と同じ日、日本企業の一部が中国通貨の軍門に下った。貿易決済を人民元建てとした初の日本企業はDIC(大日本印刷)。中国の現地邦人と本社との決済を三菱UFJ銀行を介して行った。
もっともコニカミノルタの香港子会社と中国の現地邦人が人民元建て決済をしたのは昨年のこと。これは香港がとうの昔から人民元経済圏に組み入れられ、香港ドルより人民元が強いから当然といえば当然の措置だった。
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