5259 中国・太白山付近に秘密の核兵器地下貯蔵庫 宮崎正弘

中国の核兵器貯蔵の全容、米国シンクタンクが詳細な報告書。「プロジェクト2049」が暴いた中国の核兵器隠匿と運搬状況。
中国共産党にとって、これほど不愉快なことはないだろう。内部の国民どころか共産党の幹部にさえ教えていない核兵器の秘匿場所、その操作システムを余すところなく米国のシンクタンクが“ばらした”のだから。
バージニア州にある超党派のシンクタンク「プロジェクト2049」は中国の西北部、陝西省の太白山付近にある「基地22」という秘密都市(地図には出ていない)の地下に建設された大規模な核兵器貯蔵庫ならびに、核兵器の操作システムを報告書にまとめた。
このニュースを最初に伝えたのは「デフェンス・ニュース」(三月初旬号)。その後、産経新聞も3月18日付けで伝えた。中国内では英字版の「環境時報」が報じたのみ。
最大の衝撃はなにか?秦嶺山脈のなかのひとつ、太白山をまるごと堀って、450キロ平方にも及ぶ貯蔵基地と鉄道による連絡網、まるで地下要塞がすでに完成している事実だ。ここにおよそ400発の核弾頭を秘匿しているという。
しかも、この要塞は大陸間弾道弾発射基地としての地下サイロの役割ばかりか、秦嶺山脈のトンネルをあちこち縦横に繋げて、運搬ルートを多様化させ、列車とトラックにより中国の六カ所にあるミサイル発射基地と結んでいるという機動性向上の事実。
報告書をまとめた中心人物はマーク・ストークス元駐北京米国大使館付き駐在武官。ペンタゴンの専門家として知られるが、世界的な軍事評論の世界では無名に近い。
「おりしも米議会はオバマのヘルスケア騒動に明け暮れて、この衝撃的報告書は議論の片隅に押しやられたのも、米国内の保守派の政治利用を恐れたからだ」(アジアタイムズ、3月26日付け)。
むろん、防衛とは何かが分からない政治屋が防衛大臣をつとめる我が国では、この衝撃の報告書に関心が払われた形跡もない。
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