マナーは悪いが、圧倒的な強さをみせていた朝青龍が引退して、相撲人気が低落すると危ぶまれていたが、強くて愛嬌のある把瑠都が大相撲の人気をさらった。15日間の大阪場所で八日間は満員御礼。バルト効果と言っていい。
一人横綱の白鵬は重圧に屈しないで、堂々たる全勝優勝。新たな“白把時代”到来の予感させる。気の毒だが、朝青龍はもはや過去の人となった。自業自得と言っていい。
亡くなった従兄の古沢昭二弁護士とは、お江戸の場所は、必ず相撲を家族ぐるみで観に行った。桝席で酒を酌み交わしながらの観戦。私は安美錦のフアン。ケガが多いので、上位に出ないが、角界で随一の相撲巧者でケガさえなければ、大関になれる相撲取りだと思っている。
今宵の昭二弁護士は、あの世で盃を片手に千秋楽を観戦しているのではないか。
<朝青龍の引退禍は想定以下。大詰めを迎えた土俵上と同じように地方巡業を管轄する巡業部でも、半年後の秋巡業の売り込み、調整が佳境に入っている。相手は海千山千の勧進元(興業師ら)。朝青龍という大きな目玉が欠けた直後だけに、さまざまな注文や値引きの要求がつきものだが、不思議なことに今回に限っては皆無に近い。
「それだけ協会だけでなく、勧進元もあの横綱には手を焼いていたってことですよ。みんな、いなくなって清々しているんじゃないですか。稽古はやらない癖にわがまま放題。横綱大関は巡業関係者と記念撮影に応じるのが決まりなんですが、ちょっとでも手間取ると、撮影途中でもプイって横向いて帰ってしまっていたんですから。あるときなんか、移動にヘリコプターを呼べって駄々をこねたこともありました」と巡業部の峰崎親方(元幕内三杉磯)は打ち明ける。
そういえば、朝青龍引退のあおりで閑古鳥が鳴くのでは、と心配された観客の入りもまずまず。最終的には、去年よりも1回減の8回の大入りとなる見込みで、「不景気を考慮すると、このぐらいの減は許容範囲内。むしろよく入ったといっていい」と協会関係者。
朝青龍の抜けた穴を埋めたのは2場所ぶり、13度目の優勝が目前に迫ってきた1人横綱の白鵬と、大関昇進が決定的な把瑠都。白鵬の対抗馬がいなくなって優勝争いがシラけてしまうのではないかと心配されたが、エストニアの怪人が目を覚まし、優勝争いは大いに盛り上がった。まさに家貧しくして孝子出ず。白青時代に代わる新たな“白把時代”の始まりだ。
朝青龍は今月11日にモンゴルに帰国して記者会見を開いて以降、消息不明のまま。すっかり過去の人となり、もはや大阪では朝青龍の「あ」の字も聞こえない。(夕刊フジ)>
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5269 朝青龍はもはや過去の人 古沢襄

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