5291 首相腹案の徳之島案浮上  古沢襄

普天間移設で鳩山首相の腹案とされる鹿児島県の徳之島移設案が表面化しているが、地元の徳之島全町長3人は30日、県庁で合同の記者会見を開き、政府から打診があっても足並みをそろえて拒絶する方針を示した。
徳之島島内3町(徳之島、伊仙、天城)の町長と議会、観光協会、自然保護団体など55団体でつくる実行委員会の主催の反対集会には、島内外から4200人(主催者発表)が集まり、「基地はいらない」「断固反対」と気勢を上げた。
来賓の小池百合子元防衛相(自民)は「基地をそっくり徳之島に移すという案も出ていると聞く。一緒に移設に反対していく」と激励。しかし基地移設によって潤う地元建設業界には賛同する動きもあって、複雑な動きをみせている。
一方、米側とくに米海兵隊は、キャンプシュワブ沿岸部に移設する日米合意の現行案が「最善」との姿勢を崩しておらず、米国務省、国防総省も地元に反対がある徳之島案には難色を示していて、対米交渉の先行きは見通せない。
<米軍普天間飛行場の移設先について「ゼロベース」とだけ語り、自らの意向を示さなかった鳩山由紀夫首相の腹案「徳之島案」が明らかになった。月内の政府方針とりまとめに向け、自らが語った「県外移設」が必要不可欠と判断したようだ。ただ、現行案を唯一実現可能とする米国は軟化の兆しをみせておらず、「県外固執」は、解決を長期化させる危険性もある。(尾崎良樹)
「政権交代直後は鳩山首相を満足させる有力な移設案はなく、官邸側は頭を抱えていた。だが、最近の首相には余裕がある」
首相側近の一人は、鹿児島県・徳之島が対米交渉の際の有力案になるとした上で、首相の心境をこう解説する。首相が昨年夏の衆院選で沖縄県外への移設を期待させる発言をした経緯があり、昨年末までの問題決着を先送りさせてまでこだわった有力な「県外移設案」をようやく見つけることができたためだという。
政府内では米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)陸上案以外にも、米軍ホワイトビーチと津堅(つけん)島の間を埋め立てる案などがある。だが、いずれも「県内」となるため首相発言と合わず、民主党内には「政府案として県外案を示せなければ、沖縄県民からそっぽを向かれる」(中堅)との危機感が強かった。
「徳之島案」は首相の発言と合致する上、県外移設を望む社民党の理解が得られやすい点がメリットだ。官邸側はシュワブ陸上案などを含めた複数案を与党党首級で構成する基本政策閣僚委員会に提示し、最終判断は連立与党の調整に委ねるとともに、対米交渉に乗り出す構えだ。
首相周辺は、徳之島移転案で自衛隊と米軍の共同使用も探っている。徳之島が過去に自衛隊誘致を試みた経緯があるためだ。
鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、民主党の小沢一郎幹事長の自治相時代の大臣秘書官を務めたこともあり、地元との本格交渉に入りやすいとの判断もありそうだ。経済振興策をセットにすることで地元の理解を得ていく方針だ。
だが、地元の理解が進んだとしても、米政府はシュワブ沿岸部に移設する現行案が「最善」との姿勢を崩しておらず、対米交渉の先行きは見通せない。徳之島は沖縄本島から北へ約200キロと距離的には比較的近いものの、「県外」移設となることに米側が難色を示してくる可能性があるためだ。
政府は移設問題をめぐって近く平野博文官房長官、岡田克也外相、北沢俊美防衛相らが会談し、今後の対応を協議する。だが、移設先をめぐる政府内の判断は分かれており、首相がこだわる県外移設を実現できるかは、首相自身の指導力にかかっている。(産経)>
<米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の基地機能の移設先として浮上している鹿児島県・徳之島の全町長3人は30日、県庁で合同の記者会見を開き、政府から打診があっても足並みをそろえて拒絶する方針を示した。
3人は天城町の大久(おおひさ)幸助町長と伊仙町の大久保明町長、徳之島町の高岡秀規町長。「島は農業や観光で振興し、騒音や治安の悪化を招く基地は必要ない」「28日の決起集会に4200人が集まり、全島一致で反対を確認した。もう振り回されたくない」と訴えた。
政府から打診があった場合、大久町長は「会う必要はない」、大久保町長も「話は聞かない」と明言。一時は「住民投票も選択肢」と話していた高岡町長は「町議会も全会一致で反対で、民意に従い住民投票はしない」と転換した。
鳩山由紀夫首相が移設案の集約期限を再三延期していることにも「政府に不信感を持つ。みんなが振り回されている」(大久保町長)「不安と恐怖をあおっている」(高岡町長)と批判した。(西日本新聞)
<米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先の一つとして、米側に示された政府案に盛り込まれた徳之島で28日、移設反対の郡民大会があった。会場の天城町総合運動公園野球場には、島内外から4200人(主催者発表)が集まり、「基地はいらない」「断固反対」と気勢を上げた。
島内3町(徳之島、伊仙、天城)の町長と議会、観光協会、自然保護団体など55団体でつくる実行委員会の主催。正式な政府案発表前に、住民の意思を示そうと開いた。
JAや商工会、子育てサークルの代表ら6人が「安心して暮らせない島になる」「子どもたちのためにも美しい島を残さなければならない」などと、次々に移設反対を訴えた。
来賓の小池百合子衆院議員(自民)は「基地をそっくり徳之島に移すという案も出ていると聞く。一緒に移設に反対していく」と激励。金子万寿夫県議会議長は「県議会も全会一致で反対の決議や意見書を可決、意思を明確にした。県民とともにこの問題に対処していきたい」と呼びかけた。
「米軍基地、訓練基地の徳之島への移設を断固として反対する」とする決議文と大会スローガンを採択、大久保明伊仙町長を先頭に「がんばろう」と、こぶしを突き上げた。(南日本新聞)
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