ここ数日来、韓国メデイアでは北朝鮮の金正日総書記が訪中の情報ニュースがひんぱんに取り上げられている。これに対して中国外務省は否定するお決まりの流れ。訪中があっても北京を離れて帰国後に発表になるのではないか。
何故、今の時期に病気の筈の金正日訪中なのか。
朝鮮日報は「六カ国協議復帰と経済援助を交換するビッグディール(大妥結)が今回の訪中の中核になるとみられる」と解説している。
北朝鮮は唐突にデノミネーション(貨幣呼称単位の変更、デノミ)を実施して、経済的な大混乱を招いた。この影響で餓死者が発生するほど極度の食糧難も生まれ、デノミを実施した政策責任者が処刑されたという噂もでている。
この混乱が金正日体制を揺るがしかねないと中国側が判断すれば、食糧援助と生活必需品の支援する一方で、懸案となっている北朝鮮の六カ国協議への復帰を求めるシナリオが浮上してくる。
その舞台設定が金正日訪中という見立を韓国メデイアは取っている。”読み過ぎ”の様な観がしないでもないが、日本にいては情報の取りようがない。
<(北京1日聯合ニュース)中国外務省の秦剛報道官は1日の定例会見で、北朝鮮・金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中の可能性を問う質問に、「現在、そうした方面の情報は聞いていない」と答えた。同省は、年初から取り沙汰されている金総書記の訪中説に関する真偽確認要請に対し、毎回こうした答えを返している。
一方、韓国の政府筋などからは、金総書記が1日または2日にも中国を訪問する可能性も提起されている。政府の中核消息筋は、早ければ1日夜にも金総書記が平壌をたつ可能性があり、注視していると伝えた。
ここ数日、中朝国境地帯の中国・丹東では、北朝鮮の機関員らしき人々が保安活動を展開しており、北朝鮮の妨害電波で携帯電話の不通事態が続いているとされる。また、平壌から北京に到着した国際列車から、金総書記の訪中先発隊とみられる青年らが下車する姿が捉えられるなど、あちこちに訪中の兆候が表れていると伝えられる。(聯合)>
<北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記による訪中に向け、先発隊がすでに北京に到着したと伝えられる中、金総書記が早ければ今週末ごろ中国を訪問すると予想されている。
北京の外交筋は1日、「金総書記の訪中を前に、中朝両国が最終的な日程調整をしていると聞いている。今週末に訪中する可能性が高い」と話した。
中国の秦剛外務省報道官は同日、定例記者会見で金総書記の訪中説に関する質問を受け、「中国共産党と朝鮮労働党は高官間の相互訪問の伝統がある」としながらも、「そういう方面の情報は聞いていない」と答えた。
しかし、中国外務省の否認にもかかわらず、金総書記の訪中が迫っている兆しは至るところで確認されている。ある北朝鮮筋は「中国外務省は両国間の合意に従い、金総書記が中国訪問を終えて平壌に戻った後、中国訪問の事実を公式に確認する。先発隊の到着など幾つかの状況を考慮すれば、週末に訪中する可能性が高い」と語った。
北京の外交関係者の間では、金総書記が今回の訪中で1年以上空転してきた6カ国協議復帰を電撃宣言するという見方が出ている。金総書記は昨年10月に平壌を訪問した温家宝中国首相と行った首脳会談で、「2国間および多国間会談に参加する意向がある」と話している。北朝鮮ナンバー2の実力者、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が昨年7月、ある国際会議で「6カ国協議は永遠に終わった」と発言してから3カ月後のことだ。
今年2月には、新年のあいさつのために北朝鮮を訪問した王家瑞中国共産党対外連絡部長が北京に戻る際、北朝鮮の6カ国協議首席代表、金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官を同行させ、中国側と6カ国協議再開交渉を行っている。今回の訪中では、こうした準備作業を基に6カ国協議復帰を宣言する可能性があるというわけだ。
中国はその見返りとして、大規模な経済援助を提供するものとみられる。経済援助はデノミネーション(貨幣呼称単位の変更、デノミ)以降、餓死者が発生するほど極度の食糧難に苦しんでいる北朝鮮の実情を考慮し、食糧援助と生活必需品の支援が中心となる見込みだ。これについて北京では、中国が金総書記訪中の贈り物として10万トン前後の食糧を含む経済援助を提供するという説も提起されている。10万トンがすべてコメだとすれば、約8000万ドル(約75億1000万円)相当に達する。
しかし最近、中朝国境地帯を中心に進められている両国間の経済協力問題は議論対象にならないという見方が大勢だ。国連制裁が行われている状況で、中国が大規模援助とは別に経済協力まで提供するのは容易ではないからだ。北京大のある専門家は、「複雑な懸案は議論しないだろう。6カ国協議復帰と経済援助を交換するビッグディール(大妥結)が今回の訪中の中核になるとみられる」と話した。
金総書記の今回の訪中は、2泊3日間の短い日程で北京だけを訪問する可能性が高いとみられる。金総書記の健康状態やデノミ実施後の北朝鮮の混乱状況などを考慮すると、2001年(5泊6日)や06年(8泊9日)のように、何都市か訪問する長期滞在は難しいからだ。金総書記の三男で後継者といわれるジョンウン氏を同行させるかについても、見方はさまざまだ。後継者指導の意味で同行させることもあり得るが、訪中の目的が不明確になる可能性もあるためだ。
中国側の専門家は「ジョンウン氏を同行させる場合、両国とも負担を感じる可能性がある」と話した。(朝鮮日報)>
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5297 韓国メデイアに踊る金正日訪中説 古沢襄

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