5339 春の嵐か、無党派狙いの新党乱立、古沢襄

「たちあがれ日本」に続いて山田宏・東京都杉並区長らの新党も中田宏前横浜市長や斎藤弘前山形県知事らとともに結成されることになった。国民の半数を占める無党派層の支持を狙った新党が参院選を前にして乱立気味の旗揚げ。「みんなの党」は無党派層の支持が分散されると警戒している。
これで参院選の直前に民主党が鳩山首相から菅直人首相に衣替えでもすれば、自民党内も人気度ナンバー・ワンの桝添要一氏を擁立する動きが出るかもしれない。底冷えする春の嵐を呼びそうな雲行きとなった。
<山田宏・東京都杉並区長らの新党は、民主党でも自民党でもない「第3極」の結集を目指しており、この点、平沼赳夫・元経済産業相らの新党と戦略は共通する。参院選までどれだけ支持を広げられるか。残された時間は短い。
平沼氏が、自民党に離党届を出した与謝野馨・元財務相らと共に作る新党「たちあがれ日本(にっぽん)」には、両氏のほか、園田博之・元官房副長官、藤井孝男・元運輸相、中川義雄参院議員が結党時に参加する。これにより、政党助成法に基づく政党要件を満たす「国会議員5人」に達することになった。
中川氏は7日、自民党本部で大島幹事長と会い、離党届を提出。藤井氏も8日に離党届を出す予定だ。参加が取りざたされていた自民党の鴻池祥肇・元防災相は7日、新党に加わらない考えを記者団に明言した。
党名は、平沼氏らを支援する石原慎太郎東京都知事の命名という。「日本」を入れることとし、「すすめ日本」「まもれ日本」といった名称も候補に挙がったが、「危機感を表したかった」(園田氏)という。
園田、藤井両氏は7日、新党の政策を協議し、経済成長、財政再建、安心できる日本作りを柱とすることで一致した。具体策として、〈1〉消費税率引き上げを含む税制の抜本改革〈2〉消費税の福祉目的税化〈3〉自主憲法制定〈4〉郵政3事業の全国一律サービス維持や外資規制を中心とした郵政民営化見直し――などを打ち出す方向で、平沼氏ら5人は8日に政策の最終調整を行う。
「自民党を分裂させるためではない。徹底的な反民主党を貫く。捨て石になったつもりで頑張る」
与謝野氏は7日、東京都内で、自身が主宰する自民党議員らの勉強会「正しいことを考え実行する会」の会合でこうあいさつした。
共に松下政経塾出身の山田区長、中田宏・前横浜市長らによる新党は、既成政党と一線を画すため、参院選の候補者に現職の国会議員は加えない方向だ。
新党の消長のカギとなるのは、両氏らと昨年、改革派首長による「首長連合」を結成した橋下徹・大阪府知事の動向だ。山田氏らは支援を要請しているが、橋下氏は当面、府政に専念する構えで、「連合」と呼べるほどの広がりに乏しい。「新党が求心力を高めるには、橋下氏の支援と、さらなる著名な候補者が必要」(民主党関係者)との見方もある。
新党の乱立模様の背景には、世論の民主離れと自民党の低迷による無党派層の急増がある。「第3極」としてその層を取り込み、キャスチングボートを握る思惑が働いている。
公職選挙法に基づき、参院選で政治団体の名称が保護される期限が5月2日に迫っている事情もある。
みんなの党の躍進も動きを加速させた一要因だ。ただ、同党は昨年の衆院選前に結党し、国会活動など実績を重ねており、「参院選直前の駆け込み的新党は本気かどうか疑われる」(自民党幹部)と冷ややかな見方もある。
読売新聞社が2~4日に行った全国世論調査によると、鳩山内閣の支持率は、男女別では、男性37%に対し女性が29%と低く、3月の前回調査と比べ、9ポイント下がった。年代別では60歳代で14ポイント減、職業別では専業主婦で19ポイント減の大幅なダウンとなった。民主党が主婦層を中心とする女性や「団塊の世代」の支持を失い、自民党にも流れていない。ここに第3極の狙い目がありそうだ。(読売)
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