5340 「市場の破壊者」亀井静香を退治せよ 古沢襄

英ロイター通信が「”市場の破壊者”亀井静香を退治せよ」という表題の飯島勲氏の論評(プレジデント 2009年11.30号)を紹介している。国民新党の亀井代表が平成の徳政令といわれるモラトリアム法案の成立を目指していることを、言語道断だと批判した。
飯島勲氏は小泉元首相の大物秘書官として知られたが、いまは政治評論家として活躍している。
民主党のマニフェストに載っていない「モラトリアム法案」を、民主党が聞かなければいけない理由は、参議院で民主党が過半数を握っていないことがある。鳩山政権は国民新党が連立を離脱した途端に、あらゆる法案が通らない「死に体(レームダック)」内閣になってしまう・・・と分析した。
しかも夏の参議院選挙で民主党が単独過半数を握れば、社民党や国民新党との連立を解消することは誰の目にも明らかだとした。だからこそ、連立間での疑心暗鬼が選挙に影響を与えることを恐れる小沢は、参議院選挙後、民主党が単独過半数を握っても連立は解消しないといったのだのだ解説してみせた。
無論、小沢の本心ではないだろう。衆参での単独過半数獲得こそが小沢の政治生命を賭けた悲願なのだから・・・というのだが、支持率が急降下している民主党が単独過半数を獲得しそうもないことには触れていない。
<小政党の代表が民主党のマニフェストに載っていない「モラトリアム法案」を勝手に表明することに違和感を覚える人も多いだろう。
なぜ国民新党の暴走を許すのか
総選挙での民主党の勝因は選挙の争点を「無駄遣い」と「子育て・社会保障」など民主党の長所に誘導できたことだ。小沢一郎率いる民主党の選挙戦術は素直に称賛しなければいけない。
ただタイミングにおいても運が味方したことも確かである。リーマンショックから約1年、ちょうど選挙時期に景気減速も一段落し、国民の関心・懸念が経済から社会保障と行政の無駄遣いにシフトしたところでの選挙だっただけに民主党にとって追い風だった。
むしろ自民党の敗因はタイミングを読み違えた麻生前首相にある。マスコミからまったく評価をされずに、日本経済を救う政策を黙々と実行していた。国民の空気が読めなかった、読もうとしなかった点は実に残念だ。自民党のマスコミ対策は安倍政権以降まったくうまくいかなかった。
そして現在のところ、鳩山政権にはまだまだ運が味方しているようだ。外国メディアの注目も高く、日本の首相として珍しく存在感が大きい。一部のメディアでは幸夫人の奇行を好意的に報じている。しかし現実は、沖縄基地問題やアフガン支援、経済・金融政策など、どれをとっても当初から一貫性のない、迷走状態にある。
私は民主党の政治の弱さは経済と外交と指摘してきた。私の個人的な主観だけではなく各紙の世論調査でも同じ見解が反映されている。
日本経済の成長戦略を描こうとするのなら、亀井静香郵政・金融担当相は中小企業やサラリーマン世帯に3年の返済猶予(モラトリアム)法案を就任直後に口にするなど言語道断だ。
なぜ前代未聞の暴走に関してもっと自民党、国民、そして誰よりもメディアが声を荒らげて批判しないのか不思議だ。テレビなどの日本のマスコミは、失言やスキャンダルは大きくいつまでも報じるのだが、政策に関しての批判、評価には及び腰だ。
衆議院で3議席しかない小政党の代表が民主党のマニフェストに載っていない「モラトリアム法案」を勝手に表明することに違和感を覚える人も多いだろう。
亀井大臣の無理難題を聞かなければいけない理由には、民主党が参議院で過半数を握っていないことがある。鳩山政権は国民新党が連立を離脱した途端に、あらゆる法案が通らない「死に体(レームダック)」内閣になってしまう。
民主党が2010年夏の参議院選挙で単独過半数を握れば、社民党や国民新党との連立を解消することは誰の目にも明らかだ。だからこそ、連立間での疑心暗鬼が選挙に影響を与えることを恐れる小沢は、参議院選挙後、民主党が単独過半数を握っても連立は解消しないといったのだ。
無論、小沢の本心ではないだろう。衆参での単独過半数獲得こそが小沢の政治生命を賭けた悲願なのだから。(ロイター)>
モラトリアム法案=中小企業や住宅ローン利用者の銀行からの借金返済を一定期間猶予する措置。亀井金融相の肝いり政策で、元本の返済を最長3年程度猶予し、再建の可能性の高い企業に対しては金利も猶予する▽猶予するか否かは金融機関の「努力規定」とする▽猶予後に融資が焦げ付いた場合は政府が肩代わりする――などとする骨格がまとめられた。今月にも召集される臨時国会での成立を目指している。( 朝日)
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