5347 構想倒れの核テロ対策拠点になりはしないか 古沢襄

突然、浮上した核テロ対策で東海村に国際拠点を作る構想だが、政府部内で十分に練り上げたものとは思えない。むしろワシントンの核サミットで日本の首相は蚊帳の外になりかねないという懸念が生じていることから、鳩山首相を支える学者グループなどが急遽、打ち出した構想という疑念が残る。
米国、ロシア、中国、英国など核保有国では、軍事、警察、諜報機関を含めた核テロ対策が進んでいるが、日本ではむしろ一元化された核テロ対策が遅れている。北朝鮮核の脅威に曝されている日本だから、米国の協力のもとに、早急に核テロ対策を確立する必要がある。
それを飛び越えて、東海村に国際拠点を作る構想を打ち上げるところが、いかにも”宇宙人首相”らしい。核テロ対策は優れて軍事機密に属するものだから、米国にしてもよほどの信頼関係がなければ、手の内をみせないだろう。
早い話が北朝鮮核がテロ国家に流れる恐れがあるといっても、日本にはその情報を掴む国際的な諜報組織がない。肝心な情報がないままに「核不拡散セキュリティー支援センター」を設立し、核テロ阻止と核不拡散強化の国際拠点とするといっても、構想倒れに終わるのではないか。
しかも原子力施設の海外進出でも、日本は中国やロシア、韓国に遅れをとっている。その状況下で日本が「核セキュリティー」分野の人材育成を推進するといっても空虚な響きでしかない。着想はいいのだが、まず日本が本格的な核テロ対策を構築するのが先決ではないか。東海村に国際拠点を作るのは、その後のことになる。
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