5352 与党は「第3極ブーム」になお警戒、参院選敗北なら連携も視野 古沢襄

カネもない、組織もない新党だから、風をおこして上昇気流に乗るしかない。風が吹く条件はある。「カネと政治」で民主党政治に対する国民批判はかつてないほど高まっている。それを追い詰めるだけの力量は、自民党に窺い知ることはできない。
民主党にも自民党にもあき足らない有権者は無党派層という大きな塊となって、国民の半数に及ぼうとしている。その受け皿になるかとみられた「みんなの党」も、まだお子様ゲームの域をでていない。
「たちあがれ日本」に注目が集まったのは、風をおこして上昇気流に乗る期待があったからだ。しかし出来上がった新党はおよそ上昇気流に乗る代物ではない。
第一に国民人気が一位である桝添要一氏が動かなかったことにある。鳩山邦夫氏が与謝野馨氏と桝添氏を握手させる”坂本竜馬”になると言ったが、薩長同盟の一方が動かないとなれば、新党効果が色褪せるのは避けられない。
第二に与謝野氏と平沼赳夫氏の同盟で新党を立ち上げたが、国民人気が高い石原慎太郎氏が応援団長にとどまっている。これが平沼・与謝野新党の効果を半減させている。平沼氏を慕う城内実、川上義博、衛藤晟一などの中堅がまだ新党に参加していないので、平均年齢が六十九歳という老人党というイメージを植え付けてしまった。
「たちあがれ日本」は参院選に十人程度の候補者を擁立する。橋本大二郎・前高知県知事ら若い有望新人を揃えなければ、上昇気流に乗るどころか、失速することになりかねない。正念場を迎えた「たちあがれ日本」ということになる。
<平沼赳夫元経済産業相、与謝野馨元財務相らが10日、新党「たちあがれ日本」を結成した。平沼氏が代表、与謝野氏が共同代表に就任し、結党趣旨に「打倒民主党」「日本復活」「政界再編」を掲げた。参院選では比例区と東京など複数区で候補者を擁立し、1人区については、自民党候補を支援する方針。
新党結成の記者会見には、両氏と園田博之前自民党幹事長代理、藤井孝男元運輸相、中川義雄元内閣府副大臣の国会議員5人と、応援団長を自任する石原慎太郎・東京都知事が出席。会見で平沼氏は「政治生命をかけて日本のために汗をかく。民主党政権による政治はこの国をダメにしてしまう」と主張。与謝野氏は「民主党に政治への哲学はない。自民党には野党として戦う気力がない。反民主、非自民で戦う」と強調した。
綱領や基本政策では「自主憲法制定を目指す」とし、外国人参政権と選択的夫婦別姓に反対を表明。社会保障財源として消費税を含む税制の抜本改革を掲げ、規制緩和や行革とあわせ3年間で経済と財政を再建するとした。
国会議員5人の平均年齢は約70歳。石原氏は「年寄りだとバカにするかもしれないが、30、40、50代で我々と同じようにこの国を憂える人間がどれだけいるんだ。若い候補者を立てて参院選を戦う」と語った。(朝日)>
<平沼赳夫・元経済産業相らが新党「たちあがれ日本」を結成したことに対し、政府・与党から10日、警戒する声が相次いだ。
ただ、夏の参院選で与党が過半数割れした場合、新党など「第3極」勢力との連携は不可避との見方もあり、新党の方向性や支持の広がりを注意深く見極めていく構えだ。
鳩山首相は10日、東京都内で記者団に対し、新党について「互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、政治家同士が新たな政治運動を作り上げていくことは決して悪い話ではない」と述べ、詳細な言及を避けた。
一方、閣僚からは厳しい批判が上がった。
岡田外相は記者団に「最初から自民党別動隊と分かっている。何のために作られたかわからない」と冷ややかに語り、仙谷国家戦略相は徳島市での集会で「敬老会青年部のような新党の方々は若い方々にアピールできるものを作り得ないだろう」と突き放した。
自民党離党者による新党の動きについて、民主党内では「鳩山邦夫・元総務相の離党がきっかけになり、与謝野馨・元財務相、舛添要一・前厚生労働相らが大同団結したら怖い」との懸念があった。しかし、舛添氏らが加わらなかったことで「若い無党派層にブームを起こすほどの力はない」との楽観論が強まっている。
一方で、今夏の参院選では、鳩山内閣や民主党の支持率が急落し、自民党支持率も低迷している中で、山田宏・東京都杉並区長らが結成する「首長新党」を含め、新たな「第3極」勢力が議席を獲得する可能性は高いとみられている。
平沼氏らは強く連携を否定しているものの、民主党議員からは「参院選で与党が過半数割れしたら、新党などと手を握るしかない」との声が漏れ始めた。
「たちあがれ日本」の園田博之・元官房副長官は、同じさきがけ出身の前原国土交通相らとパイプが太い。消費税率を引き上げるべきだという与謝野氏の主張に同調する民主党議員も少なくない。「安全保障政策の異なる社民党や、今まで対立してきた公明党より組みやすい」との声もある。
他の与党は連立組み替えにつながる動きを警戒している。社民党党首の福島消費者相は10日、平沼氏らの新党について、宮崎市での記者会見で「タカ派ミニ自民党であり、自民党の補完政党だ」と批判。国民新党代表の亀井金融相も記者会見で「政策的に水と油の方が集まって、どういう展望を持っているのか」と語った。(読売)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました