5372 オバマ・胡錦涛会談は米国の人民元切り上げ圧力回避 宮崎正弘

やがて不良債権の爆発があるとウォールストリート・ジャーナルが警告。中国の潜在する不良債権は380兆円、管理不能状況も視野に・・・。
中国の2009年の銀行貸し出しは邦貨換算で130兆円(9兆6000億元)。これにより、景気回復が軌道にのり、中国が世界経済の牽引車と持て囃され、しかし実態を覗き見れば不良債権の山を築いていることに担当者は真っ青になっているのが真相に近いだろう。
胡錦涛は核サミットで訪米したのも、核のことはそっちのけで米国の人民元切り上げ圧力回避が目的、オバマー胡会談に、異例にもガイトナー財務長官が同席したのもその為である。
温家宝首相は高らかに高度成長維持、GDP8%のラッパを吹いて強気の進軍を指令しているが、引き締めに躍起なのが経済担当の王岐山副首相だ。大手、有力銀行がここへ来てホンコンで軒並みの増資に踏み切ろうとしている空気に警鐘を鳴らし、「市場には増資を受け入れる資金的余力がない」と発言している。
貸し出し額130兆円というのは、前年比の二倍である。いったい二倍の貸し出しを敢行して、あちこちに道路鉄道工事、摩天楼を林立させたが、ビルのなかはガランドウ。この強気のツケがいつ、どのような嵐となって中国経済を撃つか?
格付け機関大手のS&Pは「向こう五年以内に中国の不良債権は1・8兆元から2・7兆元になるだろう」と予測する(ウォールストリート・ジャーナル、4月12日付け)。もし後者の数字を予測材料に用いるとすれば、邦貨換算380兆円。中国のGDPの79%に達する。
昨年まで外国投資グループは、不良債権をAMC(債権買い取り機構)が買い取って証券化した金融商品を買い取ってきた。そのブームは去った。
▲俄か土地成金も地方政府の無邪気で無謀な拡大も水泡に帰すのは時間の問題
さらに中国では地方政府ならびに地方自治体の直接借り入れ、地方債の起債を禁じているが、抜け道はUDIC(Urban Development Invest Corporations、「都市開発投資機構」)と呼ばれるもので、ここが地方政府の替わりに資金を集めていたのだ。
シティバンクの見積もりでは「これらUDICの起債分の22%が2011年に債務不履行の可能性が高い。その金額は11・4兆元に達し、マスコミが予測する数字の数倍はあるだろう」という(11兆4000億元は邦貨換算で160兆円です!)。
すでに小誌が数回にわたって指摘しているのは地方政府の信用供与拡大。それも野放図な拡大、あるいは狂気の拡大だった。
すなわち地方政府は土地を売却し、銀行の融資をUDICを通じて拡大させ、その債務を保証するとして、景気を刺激してきたわけだが、金利が上がり、不動産クラッシュが起これば元本さえ返せないのは火を見るよりも明らか。
しかも中国の銀行当局は、そうした貸し出しの洗い直しを命じ、新規貸し出しの中止を勧告した。
UDICの再評価を六月いっぱいを目途に報告せよ、としており、これらの動きを見ている外人投資家集団は、中国への投資熱をすっかり醒ましている。
土地成金も地方政府の無邪気で無謀な拡大も水泡に帰すのは時間の問題になった。
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