カーメラ・コンロイ総領事(在ラホール米国領事館)の会見が行われた。同女史はアフガニスタンにも三年間の駐在経験があり、パキスタン、アフガニスタン両国を展望できる数少ないエキスパートとして斯界では知られる。会見は16日、東京。
コンロイ総領事はアフガニスタンにおける米軍の軍事的役割ばかりがマスコミで伝えられているが、米英仏独、グルジア、ウクライナ、イタリア、リトアニアなど30ヶ国から文民が派遣され、教育、文化活動を地道にやっていることを強調した。日本からもふたりが派遣されている。
また同女史の講演で新鮮な情報だったのは、アフガニスタンにも英字新聞が存在すること、パキスタンには英字新聞が六つ。現地語の新聞は無数にあり、ジャーナリストの質に問題があること、ラホールとカラチではファッション・ショーが開かれること、アフガニスタンの主なメディアはラジオということだった。
アフガニスタンのカルザイ政権が「腐敗している、反米的だ」とする報道も目立つが、分析はあまりに一面的であり、カルザイ大統領は、むしろ米軍がパキスタンの意見を聞きすぎることを懸念している側面がある。
同時にパキスタンは米軍がアフガニスタンと組んで、背後ではインドと組み、パキスタンを挟み撃ちする陰謀があると不信感を抱いていると現地独特のメンタリテイィの存在を述べた。
▲米国とパキスタンの間に密約はあるか?
またパキスタンのマスコミが騒いでいる米国とタリバンとの水面下の交渉に関して同女史は、「まったくあり得ないはなし。相手はテロリスト、非民主的な集団であり、交渉の相手ではない」と言明した。
せっかくの機会なので小生も質問をひとつ。「セーモア・ハーシェがすっぱぬいた、パキスタン危機のおりに米海兵隊がパキスタンの核兵器隠匿場所に潜入し、核兵器をテロリストから護るという暗黙の密約の存在について?」
コンロイ総領事は、「その問題はノーコメント」という反応だった。どこかの国の馬鹿指導者のように相手の了解もなく外交上の密約をばらしたりはしないものです
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5393 米国は「タリバンと秘密の接触をしていない」 宮崎正弘

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