「民主党はヤルヤル詐欺だ。このままでは日本が沈む」と平沼赳夫元経済産業相が言う。沈まないための戦略がない。だから民主党を打倒する。平沼らが新党に踏み切る理由だった。
民主党は本当に戦略を欠いているのか。いや応なく、仙谷由人国家戦略担当相の言動に目が注がれる。新政権は発足からちょうど7カ月、試行錯誤の連続だったが、人気の下落が止まらない。
政権運営の中枢には、鳩山由紀夫首相と4人の代表経験者(小沢一郎、菅直人、岡田克也、前原誠司)が陣取ってきたが、ここにきてもう一人、仙谷が加わった。新キーマンである。
9日の衆院内閣委、国家公務員法等改正案の審議が始まり、自民党の甘利明前行政改革担当相が、「法案には一丁目一番地が欠落している。社会情勢の変化に気付かない国家は滅びる」
と激しく迫ると、仙谷は、「変化に対応しないと生き残れないのは政治も同じだ。自民党みたいに沈まないように気を付けないと、……」とかわした。<沈む>批判を逆手にとった応酬だ。
最近の仙谷発言には、一種の逃げ、よく言えば大所高所論が目立つ。そうかと思うと、意表もつく。変幻自在だ。大物感が漂ってきた、とみられないこともない。
生方騒動(生方幸夫副幹事長が小沢幹事長批判で解任され、すぐに復帰)でも、ひと言あっておかしくないが、仙谷は
「ノーコメントだ」と避けた。直接の小沢批判は若い前原国土交通相、枝野幸男行政刷新担当相、野田佳彦副財務相らに任せて、先輩格の仙谷はうしろに構え、静かに束ねる、という作戦に映る。
しかし、政策問題では逆に過激だ。郵政改革法案の扱いで、亀井静香郵政改革担当相の前に立ちはだかり、鳩山首相に説得されると渋々降りる。財源問題でも、
「今のままの税収が続けば大きな壁にぶち当たる。(衆院の)任期の1年前か半年前か、総選挙に打ってでるとなれば、消費税、歳入改革を掲げなければ国民に失礼だ」(13日)などと解散時期にまで触れる。消費税の4年間先送りでなく、前倒し論だ。
こうした仙谷流の緩急の論法はどこからきたのか。弁護士生活19年のあとの政界入りだから、落としどころを探る司法の癖がしみついているはず。しかし、それだけではない。
「丸山真男の『日本の思想』、すごいなと。<であること>と<すること>という物の見方、いまだに僕はあれ一本で生きているようなものだ。それから、丸山先生の『“文明論之概略”を読む』です。ああ、議論の仕方はこれだと。まくら元に置いて、年中読んでた」と以前、語っている。論理の仕分けの天才、丸山の信者。
鳩山は47年、菅、仙谷は46年生まれで、ともに全共闘世代、しかし、大学紛争とのかかわり方はそれぞれだ。鳩山はほとんどなく、仙谷がいちばん深い。
違いはそれだけでない。鳩山と菅は都会派、仙谷は徳島で生まれ育った土着派だ。父は裁判所の書記官、母は高校教師、庶民の子である。
徳島といえば、戦後政治史に残る三木武夫元首相、後藤田正晴元副総理、ともに何かを頑固に見据えていた。そして、仙谷の時代か。三木も丸山と親交が深かった。
さて、民主党だ。どこを見据えているのか判然としない。<沈む>批判をはね返す理論武装が、国家戦略相に求められている。総花的でなく。(敬称略)
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コメント
仙谷由人 クソ・チョンじじい 氏ね
日本人は貴様なんかに何も期待してないよ
貴様に期待してるのはバカチョンだけ
徳島の恥
四国のツラヨゴシ