5408 野武士集団とお公家さんの知恵較べ 古沢襄

田中角栄氏が由起夫・邦夫の父親・鳩山威一郎氏を口説いた台詞(せりふ)は「田中軍団は野武士の集団。上品なお公家さんがいない」だった。角栄氏の愛弟子・小沢一郎氏が鳩山由紀夫氏を首相に担いだのは、角栄DNAを思わせる。
しかし、このお公家さんは飛んだ見込み違い。方向音痴の宇宙人で、おまけにお喋り放題男だから問題が続出。せっかく参院選と総選挙で勝利して民主党政権を作ったのに、半年で政権基盤がガタガタになってしまった。やはり柄は悪くても野武士集団のパワーを失っては政権維持ができないと小沢氏は思っているに違いない。気楽なお公家さんにはホトホト手を焼いている。
今の小沢グループは若い野武士と老練な侍大将を取りそろえ、くのいち女軍団もいる。小沢氏にとっては”虎の子”の戦闘集団である。お公家さんを下ろして、出来れば若大将を先頭にして、一勝負する気になったとしても不思議ではない。
ところが一度、総理官邸の主となったお公家さんは、首相専用機で夫婦同伴の世界外交、九月にはモスクワ訪問を早々と予約した。総理公邸の風呂場も改築して、引っ越しする気などはサラサラない。したたかなのは、お公家さんの方かもしれぬ。
一方、自民党の方も正真正銘のお公家さん・谷垣禎一氏が大将。品がよいのは宏池会の伝統だが、無類の戦(いくさ)下手。宏池会で野武士といえば古賀誠氏ぐらいだったが今は老将。昔日の面影がない。
だが、お公家さんを甘くみてはいけない。手練手管、権謀術策では単純明快・単細胞の野武士よりも遙かに上回る。自民党のお公家さん集団の方は内部分裂を繰り返しているから、野武士軍団が一斉に突撃すれば、蜘蛛の子を散らすように「メルト・ダウン(消え去る)」すると小沢氏は高をくくっているのだが、身内のお公家さんの方はそうは問屋がおろさない。
お公家さん首相は16日は国会見学に訪れた地元・北海道の後援者に対し、普天間問題について「結論を出します。どうせできないだろうとメディアが書いていますが、心配なさらないで結構。信じてください」と声を枯らして訴えた。「絶対に負けない」という言葉は真剣そのもの。「トラスト・ミイ(信じて)」を後援者に言ったことになる。
普天間移設が未決着の場合でも、お公家さん首相は引き続き政権にとどまる意向とみえる。「信じて」と言いながら決着先送りするのは、お手のもの。野武士の頭領とお公家さん首相の知恵較べは、どちらに軍配があがるのだろうか。
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