政治家の発言を報道する時には、発言の一部を切り取るのは、当たり前のことである。だが政治家の方は発言の前後の脈絡を無視して、一部を切り取って報道されたと抗議する。オオカミ中年と揶揄されて、お冠の舛添要一前厚生労働相は「新党の『し』の字も話していないのにメディアが先走り、迷惑した」と福岡市の講演でぼやいてみせた。
さて、この桝添発言を新党を断念したとみるのか、どうか。前後の脈絡でいえば「私は一言も自民党の悪口を言っていない。党内で私がつるし上げられる理由はない」「日本をどう立て直すのか提言することがなぜ悪いのか。先頭に立って自民党が勝つために戦っている」(いずれも時事)・・・となる。
自分は新党のことは考えていない。自民党内で立て直しの提言をしているという主張である。時事は一貫して「桝添新党」に懐疑的。競争通信社の共同が、新党結成に踏み切ると観測しているのと対照的である。
政治家は簡単に腹の中をみせない。結局は発言のどの部分を切り取るかという”読み”の勝負になる。
桝添氏は福岡講演で4月26日から5月2日までに新党名を届ければ、類似の党名を排除できるとする公職選挙法上の規定を持ち出し、「やるなら5月2日までだ。ルールと日程を見ながら動かないと、成功するものもしない」(朝日)と相変わらず思わせぶりな発言を繰り返している。
「新党の『し』の字も話していない」と言った舌の根も乾かないうちに、こういう発言をするから「やはり新党を模索している」と切り取られてしまう。やはり優柔不断なオオカミ中年なのだろうか。こんなことを繰り返していると、次の首相にしたい人気度ナンバー・ワンの座から滑り落ちるのではないか。
<自民党の舛添要一前厚生労働相は19日、福岡市で開かれた「毎日・世論フォーラム」(毎日新聞社主催)で講演し、「新党の『し』の字も話していないのにメディアが先走り、迷惑した」と新党志向を事実上、軌道修正。そのうえで同氏を批判した同僚議員を名指しして反論した。
舛添氏がやり玉に挙げたのは、先週、「オオカミ中年。(党を)明日にも出た方がいい」と酷評した後藤田正純元内閣府政務官。後藤田氏が県連会長を務める徳島県で、同党の参院選候補者選考が混乱したことを指摘し「県連を崩壊に導いた人は責任を感じるべきだ」と応酬した。
舛添氏の「弁明」は1時間の講演時間をオーバー、予定していた質疑応答は中止になった。(毎日)>
<自民党の舛添要一前厚生労働相は19日午後、福岡市で講演し、自身が橋下徹大阪府知事や東国原英夫宮崎県知事と接触したことについて「(二人とは)新党の話なんて『し』の字もしていない。知事と一緒になっても新党なんてできない」と述べ、新党結成に向けた動きとの見方を否定した。
自民党内では、執行部批判を繰り返す舛添氏への批判が高まっているが、同氏は「私は一言も自民党の悪口を言っていない。党内で私がつるし上げられる理由はない」と反論。「日本をどう立て直すのか提言することがなぜ悪いのか。徳島県にわざわざ選挙応援に行ったのは私だ。先頭に立って自民党が勝つために戦っている」と強調した。
一方、「オールジャパンで日本を変えないといけない。そのときに新党(結成)なのか自民党総裁なのかはどうでもいい。あらゆる可能性について模索している」と述べた。(時事)>
<「メディアが勝手に(新党結成の)爆弾を仕掛けても爆発するはずがない。私は一言も言っていない」
自民党の舛添要一前厚生労働相は19日、福岡市での講演で自らの動きが新党結成とからめて報道されていることに反論した。党内から「オオカミ中年」と批判されていることにも「自民党の議員は(メディアに)反応しちゃいけない」と語った。
一方で舛添氏は、4月26日から5月2日までに新党名を届ければ、類似の党名を排除できるとする公職選挙法上の規定を持ち出し、「やるなら5月2日までだ。ルールと日程を見ながら動かないと、成功するものもしない」と述べ、相変わらず思わせぶりな発言を繰り返した。(朝日)>
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5412 舛添氏「新党の『し』の字も話していないのに…」 古沢襄

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