インドのベンガル地方に猖獗するマオイスト、武装闘争を強化。インド政府、特殊部隊では不足、正規軍と空軍の投入を検討。
四月中旬、マオイスト支配地区で74名の治安要員が殺害された。マオイスト支配地区は西ベンガル地方ばかりか、いまや急速にその影響力を拡大しており、武装を高度化させている。インド政府を敵視しているのだ。
74名もの被害を出したのはチャティスカルのダンテワダ地区。ここがインドを脅かすマオイストの拠点のひとつ。
インドのマオイストは1960年代にベンガル地方で誕生し、80年代には軍事組織の拡大を図り、90年代には28州55地区に影響力を拡げたが、いまでは全インド626の行政区のうち、じつに223地区に拡大し活動するにいたる。
インド国内問題最大の頭痛の種はパキスタン国境のテロリスト、ベンガルのマオイストである。
すでに2月にも25名のインド政府が派遣した治安要員がマオイストに殺害され、四月には74名。訓練された警察部隊を投入しても埒があかず、特殊部隊が選別された地区に投入された模様。
パラニアパン・チダムバラム内相は「インド陸軍と投入し、空爆の必要性もある」と語っている(『アジア・タイムズ』、4月28日付け)。シン首相も同意見という。
▲結局は誰を利するのか?
空爆作戦はスリランカ政府がタミル過激派を退治するために使った教訓を活かそうと検討しているとされるが、P・V・ナイク空将は「住民を巻き込み、多くの犠牲がでる可能性があり、賢明な作戦とはいえない」と空爆に否定的。
空爆を実行し、「ピンポイント爆撃で正確に250キロ火薬を投下することが可能だが、周囲800メートルに犠牲者がでる」とする。
「マオイストはいったい何が望みで、何を目的としているのか」。じつはよく分からない。部族、民族、言語が異なり地区によっては考え方がちがう野合の武装集団でもある。
インド国内では33ページのマオイストの主張が冊子として売られているが、言論の自由の立場からインド政府は、これを発禁図書には指定していない。
しかしながらインド国内治安の攪乱は確かに中国を利するだろう。中国はインドのマオイストは関係がない、としている。おなじ台詞をネパールのマオイストとの関係でも主張していたが、ネパールへの武器はバングラデシュのマオイストを通じて搬入されていた説が有力である。
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