普天間移設問題は、連立与党の一角である社民党が、鳩山腹案に反対する態度を明確にしたため、沖縄や鹿児島県・徳之島など地元の移設拒否の動きと重なって、困難さをさらに増している。米側も海兵隊の徳之島移設については応じない方向にある。
時事通信は「移設案を決められなければ首相は退陣」(幹部)との見方が広がっているとしている。
<米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で鳩山由紀夫首相は29日、社民党との調整という高いハードルを課せられた。
同党が政府が詰めている現行計画の修正案を拒否し、連立を離脱すれば、内閣支持率が2割台にまで落ち込んだ鳩山政権がさらに弱体化するのは必至。5月末の決着期限を控え、沖縄や鹿児島県・徳之島では移設拒否の動きが激しさを増しており、普天間問題の展開は、一層不透明となった。
29日のメーデー中央大会の開会前。社民党の福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)はそばにいた首相に「鳩山総理を支えて頑張ります」と声を掛けると、首相も「福島党首を支えて頑張ります」と応じた。福島氏が「支える」とあえて口にしたのは、移設問題が現行案の修正で決着すれば社民党は連立離脱する、と一部で報じられたから。しかし、首相が会場を立ち去った後にあいさつに立った福島氏は、県外・国外移設に向け「こん身の力を込めて頑張る」と宣言。神経戦を繰り広げた。
昨年秋、政府が沖縄県名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移す現行計画で決着を図る方針を固めると、福島氏らは「重大な決意」を表明。方針を白紙に戻すことを余儀なくされた経緯を踏まえ、首相は社民党に、丁寧に応対している。27日には同党の重野安正幹事長、28日には福島氏のもとに平野博文官房長官を派遣し、検討状況を説明させた。
「首相なりの誠意で社民党を説得しようとしている」。政府関係者は、首相の心中をこう推し量った。民主党内では、「移設案を決められなければ首相は退陣」(幹部)との見方が広がっており、首相は、普天間の基地機能の一部を徳之島に移し、沖縄の負担を減らすことで、地元と社民党に県内移設を認めてもらうしかないと思い定めている。
一方、社民党も、夏の参院選を控え「国外・県外移設」の旗を安易に降ろせない。双方、引くに引けない状況で、首相側近は「チキンレース」と評した。(時事)>
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