5566 気骨の人・ミスターLとブーメラン投げの名手について 阿比留瑠比

鳩山首相は今朝、これまで、国民と約束し、命懸けで、体当たりで行動し、職を賭す覚悟で臨むとしてきた米軍普天間飛行場の5月末までの決着について、次のように語ってあっさり前言を飜しました。私はこの人について昨日の産経紙面で「首尾一貫してブレ続けている」と書きましたが、さすがに期待を外しません。
《5月末までの期限を私はつくった。国民との約束の中で、できる限りのことはするが、すべてが果たせるかどうか。6月以降も詰める必要があるところがあれば、当然、努力はする》
見事です。すべてが神の見えざる手が導く予定調和のように、完璧にブレていく。もはや、神に祝福された選ばれし者にしかできない神業と言えますね。でも、ブーメランを投げれば百発百中、確実に自分に突き刺さるというこの天才のパフォーマンスについて、自民党の石破茂政調会長は、少し違った見方をしているようです。5月6日付のブログにこう書いていました。意地悪ですね。
《それにしても、鳩山総理はどこかが決定的におかしい。常識を大きく超えています。18世紀に実在した人物を基に作られた「ほら吹き男爵の冒険」という小説がありますが、このお話は「ミュンヒハウゼン症候群」という「周囲の関心を自分にひきつけるために嘘の話をしたり、周囲の関心や同情を集めることで本人の心が満たされ、繰り返し行うことで自己暗示にかかり、本人も虚偽なのか本当なのかわからなくなる病気」の名前の由来ともなっています。まさかね…》
こうなると、私のように凡庸な俗人には手に負えません。ここはやはり、仏陀の生まれ変わりとも言われる叡智を持ち、かつ何事にも動じない静謐で強い心を持つ「ミスターL」に再びご降臨いただき、そのどこまでも深く澄んだお言葉をいただこうと思います。
私 鳩山氏の言っていることが何だかよく分かりません。
ミスターL まさに崖っぷちの政権ではありますが、また、総理が耳を疑うというよりも、毎日のように失言を繰り返しておりますから、耳を疑わなくなってきているかもしれません。総理の発言、誰も信用できないという状況になってまいりました。(2008年12月5日の記者会見)
私 国民との約束をなんだと思っているのでしょうか。
ミスターL 定見がないと申さざるを得ない。やはり、信念というものを国会議員であれば、総理であればなおのこと強く持たなければならないし、一度申された言葉に対して、重い責任感を持って臨まなければならない。(同)
私 そうですね。こんな常態ですから、内閣支持率ももうすぐ2割を切りそうです。
ミスターL 国民は内閣を見放してしまった。その原因は言わずもがなだが、党首として、総理としてのリーダーシップが発揮されない。右往左往、二転三転、考えがまとまらない。(2009年1月16日の記者会見)
私 しかし、鳩山氏は辞任する気はないようです。
ミスターL 内閣がやっていることがさっぱり分からん。総理のリーダーシップもない。そういうことで、ますます支持率を下げている。もう完全に国民が見放したという状況ですからね。見放された政権が、政権に居続けるのはおかしい。(同月26日、記者団に)
ありがとうございました。さすが私の羅針盤、ミスターLです。明快に現在の事態と、鳩山氏が進むべき道を指し示してくれました。…うーん、なんだか一瞬、鳩山氏は今日こうして国民に笑いを提供するために、周到に準備してギャグのタネの数々を残してきたかのような錯覚にとらわれました。私も「ルーピー・マジック」に引っかかり、頭を冒されてきたのかもしれません。
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