マスコミの選挙情勢調査では民主党の参院選獲得議席数は三十五議席前後という厳しい見方が出ているが、当の民主党が独自に行った調査では三十議席を割り、二十九議席にとどまると壊滅的な敗北を喫する分析結果を出していたという。産経新聞が伝えた。
社民党の連立離脱前に出た調査なので、さらに厳しい結果が出る可能性がある。ここまで落ち込むと鳩山首相が退陣しても、民主党が参院選に勝つ可能性はほとんどないと言ってよい。
参院で民主党が少数派に転落するだけでなく、社民党が連立離脱したことにより衆院でも与党が三分の二以上の勢力を失った。衆院で可決した法案が参院で否決されても、衆院に回付して三分の二条項によって法案成立を図る道が閉ざされたことになる。
そうなれば解散して総選挙で国民の信を問うしかない。参院選の敗北は早期の解散・総選挙を迫られることになりかねない。新たな連立の構築も必要になる。
<民主党が5月中旬に党独自の参院選情勢に関する世論調査を実施し、獲得議席が最少のケースでは選挙区と比例代表を合わせて29議席にとどまり惨敗に終わるという分析結果を出していたことが30日分かった。民主党幹部が明らかにした。この場合、民主、国民新の与党両党が参院で過半数を獲得するのは絶望的だ。調査は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題での社民党の連立離脱以前の段階のもので、現時点で再調査すればさらに厳しい結果が出る可能性がある。
この分析は、世論調査の結果に基づき、民主党選挙対策委員会などが持つ情報を加味して、参院選の獲得議席を予測したものだ。調査結果と分析内容は極秘扱いとされており、「小沢一郎幹事長ら数人しか知らない」(党幹部)という。結果を知る数少ない党幹部は、「最も良くて40議席台後半だが、最悪の場合は29議席だ」と述べた。
調査結果の内訳をみると、選挙区では、中国、四国、九州などの西日本や関東で特に劣勢が目立つ。
全国に29カ所ある改選1の選挙区(1人区)で、民主党が確実に獲得できそうなのは岩手、奈良など数議席にとどまった。平成19年の参院選では、当時与党だった自民党が6勝23敗で惨敗したが、今回の民主党調査は、前回参院選とまったく逆の傾向を示している。
また、民主党は小沢氏の主導で2人区に候補者2人を擁立してきたが、福島などを除き、共倒れが「続出」するという結果が出た。5人区である東京でも1議席しか獲得できない。
比例代表は、民主党は19年の参院選で20議席だったが、今回は「最悪で10議席」に落ち込む可能性があるとされた。
民主党の石井一選対委員長は27日の講演で、参院選について「選挙区では30議席、比例代表で17、18議席はとれる」と、計48議席との見通しを語ったが、最も楽観的な観測に沿って分析した発言とみられる。
民主党は、参院選で大敗しても衆院で圧倒的多数を占めており、衆院での首相指名選挙に勝つことはできる。だが、参院選敗北が政権崩壊につながった例は珍しくない。19年7月の参院選では、37議席だった自民党の安倍晋三首相(当時)が同年9月に辞任に追い込まれた。10年参院選でも、44議席だった同党の橋本龍太郎首相(当時)が退陣している。
一方、民主党幹部は30日、都内で記者団に、党内から鳩山由紀夫首相の退陣論が出ていることに関し、「参院(民主党)の人たちが鳩山さんではダメだと言っている状況で、『あくまで鳩山さんで行きます』と言うのはとても難しい」と語った。
今回の調査結果は、民主党内の鳩山首相退陣論に拍車をかける可能性がある。また、仮に参院選まで鳩山首相が続投できたとしても、民主党の参院選での獲得議席が、調査結果の最少のケースに近い結果となった場合、首相退陣は不可避とみられる。(産経)>
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