剛腕幹事長にボクちゃん首相が勝つかもしれない。鳩山首相は社民党の離脱、内閣支持率の低下で国会運営が困難となり、参院選の惨敗が予想される中で、国難?に立ち向かう姿勢を崩さない。首相がその気である以上、小沢幹事長、輿石参院議員会長が暗に退陣を求めても聞く耳は持たないであろう。
最大のヤマ場となった二日だが、首相の続投意思が固ければ、参院民主党にとって最悪の選択肢になる小鳩体制で選挙を迎えることになる。カバー表紙を代えられては困るとハラハラしながら民主党の党内情勢をみていた自民党など野党側にとっては、もっとも有利な構図となった。終盤国会に向けて内閣不信任案、首相問責決議案で一気に攻勢をかけるであろう。
選挙実務に関しては首相は直接タッチしていない。選挙に負ければ小沢幹事長ら党側の責任が問われる。内閣は鳩山、党は小沢という棲み分けが、ここにきて思わぬ陥穽となっている。
鳩山首相がここまで強気となったのは、普天間移設で日米共同声明に漕ぎ着け、オバマ大統領ら米側から称賛されたことが背景にある。参院選で負けても、衆院の圧倒的多数を背景に政局を乗り切るという”読み”があるのかもしれない。「たいへんな男を総理にしてしまった」というボヤキすら聞こえてくる。ボクちゃんが剛腕に勝つという平成のイソップ物語の始まりかもしれない。
<国会内で開かれたトップ会談は約30分で終了。会談後、小沢氏は厳しい表情で記者団の問い掛けを無視。同席した輿石東参院議員会長も「コメントしない」とだけ語って国会を後にした。
一方、首相は小沢氏らと向き合った部屋を出る際、記者団が「続投か」と問い掛ける中、笑顔で左手の親指を立てて見せ、エレベーターに乗り込んだ。このしぐさについて、首相周辺は「辞める気はないということだ」と語った。
「鳩山降ろし」は、政権弱体化に危機感を強める参院の改選組の不満を受け、輿石氏や高嶋良充筆頭副幹事長らが主導。参院選や国会の日程から逆算し、今週中に一気に首相を退陣に追い込む戦略を描く。小沢氏周辺は過去の代表交代例を挙げ、「うちの党は選挙前に表紙を替えて、勝ってきた」と強調する。
これに対し、首相周辺では「首相は続投の意思は固い」との見方が多い。首相も「微動だにしない」と周辺に漏らしており、今のところは強気の姿勢を貫いている。小沢氏との会談後に首相と会った側近は「続投するんじゃないですか」と余裕の表情を浮かべた。
首相と小沢氏は蜜月関係を保ち、政権運営に当たってきた。加えて、小沢氏は「政治とカネ」の問題を抱える。首相に引導を渡すのは小沢氏しかいないとの見方で党内一致しているが、連帯責任を問われるのを避けるため、結局、辞任を迫れないと見る向きもある。
「あの2人は続投しかない」。首相と小沢氏の会談が継続協議で終わったとの報を受け、閣僚の一人は、今回の政局の結末をこう予測してみせた。(時事)
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