日本ではクリーンな政治とか言っているが、韓国では哨戒艦の沈没で北朝鮮の謝罪を求める李明博政権が統一地方選で敗退した。対決が戦争を呼ぶ危機感が背景にある。平和な日本とは違う。
主要16首長選で与党を追いつめた野党側の候補を見ると、ソウルで惜敗した民主党の韓明淑(ハンミョンスク)氏(66)をはじめ、北朝鮮に対して柔軟な姿勢を取ってきた盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の系譜に連なる政治家の復調という流れが見て取れた・・・ソウル毎日の分析である。
盧武鉉氏の自殺事件から一年経ったが、親盧派が「復活ののろしを上げた」と言っていい。それだけ朝鮮半島情勢が厳しさを増している。
<【ソウル西脇真一】2日に実施された韓国の統一地方選は、与党ハンナラ党の敗北で終わった。97年に結党した同党は、野党として臨んだ02年と06年の統一地方選で連勝したが、与党として臨んだ今回は、李明博(イミョンバク)政権に対する国民の厳しい審判を受けて敗退。7月28日に行われる国会議員の再・補欠選に向けた体制立て直しが急務となる。
韓国の統一地方選ではこれまで、与党が敗退するケースが続いていた。それだけに、12首長選で勝利した前回06年より後退することは織り込み済み。ある党幹部は投票日前、主要16首長選で「首都圏(ソウル市、仁川市、京畿道)を含め、8プラスアルファを目指す」と控えめに目標を語っていたが、実際にはそれも達成できなかった。
この日開かれた党最高委員会議では、鄭夢準(チョンモンジュン)代表が「今回の選挙を、党が国民の心を取り戻す契機にしたい」と述べて引責辞任を表明。青瓦台(大統領府)の鄭正佶(チョンジョンギル)大統領室長も辞意を表明した。
聯合ニュースによると、同党関係者は「早く党を立て直し、国民に新しい姿を見せなければならない。再・補欠選まで惨敗すれば、12年の次期総選挙も危うい」と危機感をあらわにした。
ただ、挙党体制の構築は簡単ではない。障害になりうるのが、朴槿恵(パククンヘ)元代表の存在だ。
朴氏は、前回大統領選(07年)の党内予備選で、李大統領と激突したが敗退。08年の総選挙で朴氏に近い政治家の多くが党の公認を得られなかったことなどから、李大統領とは微妙な関係が続いてきた。
朴氏は今回、党公認候補の応援には行かず、自分の地元の自治体首長選に出馬したハンナラ党候補の支援しかしなかった。ただ、朴氏の応援した候補は落選してしまい、韓国紙・文化日報は「(朴氏の)政治的権威に深刻な傷がついた」と報じた。最近の世論調査では、人気に陰りも見えてきている。
それでも、朴氏は次期大統領選(12年)出馬に執念を燃やす。党代表の辞任に追い込まれた鄭夢準氏が最大のライバルで、党内では今後、大統領選をにらんだ勢力争いが激しくなる可能性がありそうだ。
◇ソウル市長選、0.6ポイント差
今回の統一地方選では、人口の4分の1が集中する首都ソウルで民主党候補が与党候補に敗退したものの、得票率で1ポイント以下の差にまで詰め寄った。主要16首長選で与党を追いつめた野党側の候補を見ると、ソウルで惜敗した民主党の韓明淑(ハンミョンスク)氏(66)をはじめ、北朝鮮に対して柔軟な姿勢を取ってきた盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の系譜に連なる政治家の復調という流れが見て取れた。
「(市長選に)負けはしたが、国民とソウル市民は勝利した。李明博政権の失政を確実に審判したのだ」
ソウル市長選で、ハンナラ党現職の呉世勲(オセフン)氏(49)を約2万6400票差まで追いつめた韓氏は、選挙戦をこう総括した。
韓氏は学生運動の元闘士で、盧武鉉政権の時に韓国初の女性首相を務めた。昨年5月に盧氏が投身自殺した際には、国民葬の共同葬儀委員長を務めた側近だった。
昨年末に首相在任中の贈賄罪で在宅起訴されたことで選挙への影響が懸念されたが、4月に無罪判決を勝ち取った。それでも、事前の世論調査では呉氏に10~20ポイントの差をつけられていた。終盤で追い上げに成功していると見られてはいたが、同党幹部は投票日直前でも「詰まってきたものの、まだ差がある」と認めていた。
だが、ふたを開ければ0・6ポイント差。ある民主党議員は、世論調査との数字の開きについて、「(軍事政権時代に弾圧された記憶が残る)野党支持者は、世論調査で支持候補を聞かれてもなかなか本音を話さないものだ」と語った。
今回の統一選で注目されるのは、伝統的な保守地盤とされてきた地域で、盧武鉉前大統領に近い「親盧」と呼ばれる3氏が当選したことだ。
忠清南道知事選で当選した安熙正(アンヒジョン)氏(45)と江原道知事選で勝った李光宰(イクァンジェ)氏(45)は盧政権時代、「左に熙正、右に光宰」と呼ばれた側近中の側近。
盧政権で行政自治相や大統領政務特別補佐官を歴任した金斗官(キムドグァン)氏(51)は慶尚南道知事選に無所属で出馬し、ハンナラ党候補を抑えて当選した。
江原道は北朝鮮と接する東北部で安保意識が強いとされる地域。慶尚南道は盧氏の出身地とはいえ、ハンナラ党の強固な地盤だ。聯合ニュースによると、この3地域で保守政党以外の候補が当選するのは、地方自治体の選挙が95年に復活して以来初めて。同ニュースは、親盧派が「復活ののろしを上げた」と伝えた。
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◇主要16首長選の当選者
【首都圏】
ソウル市 呉世勲(49)=ハンナラ
仁川市 宋永吉(47)=民主★
京畿道 金文洙(58)=ハンナラ
【忠清道地域】
大田市 廉弘〓(65)=自由先進★
忠清北道 李始鍾(63)=民主★
忠清南道 安熙正(45)=民主★
【慶尚道地域】
釜山市 許南植(61)=ハンナラ
大邱市 金範鎰(59)=ハンナラ
蔚山市 朴孟雨(58)=ハンナラ
慶尚北道 金寛容(67)=ハンナラ
慶尚南道 金斗官(51)=無所属★
【全羅道地域】
光州市 姜雲太(61)=民主
全羅北道 金完柱(64)=民主
全羅南道 朴〓瑩(63)=民主
【その他】
江原道 李光宰(45)=民主★
済州道 禹瑾敏(67)=無所属
※「★」は、前回はハンナラ党勝利、今回は同党敗北の選挙(毎日)>
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5706 親盧派が「復活ののろしを上げた」? 古沢襄

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