みんなの党の渡辺代表は参院選で20人の当選を目指すと強気だった。江田幹事長は渋くみて12,3人と慎重であったが、フタケタ当選を目指していることには変わりない。迷走を続け、内閣支持率が20%を割った鳩山首相の下で参院選が行われれば、民主党から逃げた票の受け皿はみんなの党になった筈である。
みんなの党の基本理念は脱官僚、地域主権、生活重視、昨年8月に結成され、夏の総選挙で13人の公認候補を立てて5人が当選している。選挙後の9月国会では首班指名で鳩山由紀夫氏に投票した。
この党の性格は最近出来た新党とは違う。最近の新党は自民党に愛想を尽かして離党した政治家が作っているから、言っては悪いが”第二自民党”。民主党の支持離れが、ダイレクトに新党支持にいかない構造となっている。みんなの党の渡辺喜美氏は自民党に不満を持って飛び出したが、江田憲司らは無所属で活動してきている。自民党にも民主党にも属さない”第三極”が売り物である。
私は参院選で民主党が目標の60議席を取れずに40議席まで落ち込めば、みんなの党のフタケタ当選があり得ると見ていた。菅政権が誕生して民主党の支持率に回復基調が出ると、みんなの党の支持率が下がるという相関関係にある。このまま菅政権の支持率が上昇すれば、みんなの党のフタケタ当選も難しくなる。
ましてや他の新党は軒並み好調な菅政権の余波を受けて、参院選で苦戦するであろう。組織もカネもない風頼みの新党は、向かい風をまともに受けねばならぬ。その点では自民党も同じで苦戦を免れない。
今頃になって鳩山首相で参院選を迎えていたら、自民党が勝っていたという”恨み節”も聞こえてくる。だが自民党は無為無策であった。政治評論家の三宅久之氏は「鳩山首相を辞任させないために、内閣不信任案を早く提出して、否決させるべきだと唱えていたのは、森喜朗元首相一人しかいなかった」と述懐している。
内閣不信任案を否決して鳩山首相を信任していたら、今国会中の首相辞任は困難であったろう。そういう高度の戦術が描き出せないところに、現在の谷垣自民党の弱さがある。
<毎日新聞が4、5日に実施した緊急世論調査で菅直人首相に「期待する」との回答が63%に上るなど、各種世論調査で新首相がおおむね好意的に評価されたことで、もともと「風」が頼りの新党は自民党以上にダメージを受けている。「第三極」として先行するみんなの党は支持率に頭打ち感が漂い、新党改革は「菅民主党」に秋波さえ送り始めた。【中田卓二、木下訓明】
みんなの党の渡辺喜美代表は7日、国会内で記者団に「『みんなの党でないとだめ』という人はまったく微動だにしてない」と強気に語った。だが、同党の支持率は、民主、自民両党に不満を持つ層が押し上げてきた側面は否めない。
実際、昨年11月以降順調に伸びた同党の支持率は今回8%で、5月調査の9%からわずかに後退。参院選比例代表の投票先としては10%の支持で、前回より4ポイント低下した。第三極を目指す他党と比べると依然高いものの、民主党復調のあおりを受けたのは明らかだ。
6日投開票された横浜市議泉区補選(改選数1)では、有力視された同党候補が民主党候補に約3500票差で敗れた。選挙中は渡辺氏も応援に入ったが、「首相交代の影響がなかったとは言えない」と認めざるを得なかった。
たちあがれ日本と新党改革は参院選の公認辞退者が出るなど選挙準備が難航。たちあがれ日本幹部は「今まで通り地道にやっていくしかない」と苦悩をにじませた。対照的に新党改革の舛添要一代表は民主党批判一辺倒を転換し、「政界再編の第一歩を踏む菅内閣にしてほしい。私の最大の戦う相手は小沢一郎(民主党前幹事長)さんだ」と「脱小沢」路線の菅首相にエールを送った。
一方、自民党を離党し無所属で活動する鳩山邦夫元総務相は7日昼、国民新党の亀井静香代表と東京都内の中華料理店で意見交換した。会合には鳩山氏に近い自民党の河井克行衆院議員も同席。鳩山氏は記者団に「(河井氏には)早く自民党を出ろと言っている。もう時期かもしれませんよ」と思わせぶりに語った。(毎日)>
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5727 内閣不信任案を否決させていたら・・・ 古沢襄

コメント
鳩山が辞める前に、内閣不信任案さえ提出しておけば、状況は全く違ったものになっていた筈なのに・・・
政局を読めない自民党執行部の責任は、切腹ものですね。