仏AFPによれば、北朝鮮は軍事境界線付近に設置した韓国の宣伝拡声器を「全面的な軍事攻撃」で破壊すると警告した。韓国の地方選挙で対北強行策を唱えた李明博与党が敗北している事態をみて揺さぶりに出たのであろう。
「軍事的報復は、ソウルが火の海になることまで見通した無慈悲な軍事的攻撃となることを肝に銘じるべきだ」というのは北朝鮮がよく用いる威嚇だと思うが、宣伝拡声器を狙った砲撃を仕掛ける可能性がある。宣伝拡声器の破壊だけにとどまればよいが、韓国軍に死傷者がでれば報復の軍事攻撃に発展しかねない。
日中戦争のきっかけとなった盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)をみても、最初から日本軍と中国国民革命軍第二十九軍が全面衝突したわけでない。両軍が対峙する中で不測の事態が不測の衝突拡大につながる。韓国軍が軍事的に優位に立っている自信がかえって不測の事態を招いてしまう危惧感を抱く。
<【6月12日 AFP】韓国海軍の哨戒艦沈没を受けて、対北朝鮮の宣伝放送のため韓国が軍事境界線付近に設置した拡声器について、北朝鮮は12日、「全面的な軍事攻撃」で破壊すると警告した。北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(Korean Central News Agency、KCNA)が声明を発表した。
北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は声明で、拡声器設置は2000年に締結された南北共同宣言などに対する「重大な違反」で「直接的な宣戦布告」だとして、「心理戦用の手段を破壊するため、全面的な軍事攻撃を開始する」と述べた。
さらに声明は、「軍事的報復は、ソウルが火の海になることまで見通した無慈悲な軍事的攻撃となることを肝に銘じるべきだ」とした。
声明を報じた朝鮮中央通信も、拡声器設置について「北朝鮮の威厳と崇高な利益を侵害するおぞましい挑発行為だ」と非難した。
韓国による拡声器設置は2004年以降中断されていたが、韓国側は、3月の韓国海軍の哨戒艦沈没を受けて、軍事境界線付近の11か所に拡声器を設置。電光表示板も設置する予定だという。(AFP)>
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5762 北朝鮮、韓国に拡声器の破壊を警告 古沢襄

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