5827 「ケイタイ1本もらえば」 岩見隆夫

若さは魅力である。政治家の場合、一般社会とかなり基準がずれていて、ことに参院では50歳以下が、「まだ若い」と言われる。被選挙権が30歳以上で、それがスタートになるからだ。
24日公示の参院選、立候補者438人のうち、30代が80人、40代が123人、計203人、なんと46%が若い候補者だ。何人が胸にバッジをつけるか。
ところで、先週、民主党の枝野幸男幹事長らが在日米大使館の昼食会に招かれた。ルース駐日大使とたまたま来日中のキャンベル国務次官補(日本担当)らが、菅新体制の幹部と懇親を深めるためだ。
参加したのは枝野と玄葉光一郎政調会長(公務員制度改革担当相)、福山哲郎、古川元久両官房副長官の4人。枝野が、
「福山さんが最年長、48歳です」と誇らしげに若さをPRすると、ルース大使が、
「私たちの大統領も同じ世代ですよ」と応じた。
枝野46歳、玄葉46歳、古川44歳、40代ばかりの若い権力集団が誕生したことに改めて驚かされる。内閣には、ほかに前原誠司国土交通相48歳、蓮舫行政刷新担当相42歳、近いところで長妻昭厚生労働相50歳、原口一博総務相50歳、野田佳彦財務相53歳らがいる。
党執行部も枝野を支える樽床伸二国対委員長50歳、安住淳選対委員長48歳、細野豪志幹事長代理38歳、と若い。
ほとんどが、50年前の60年6月19日、新日米安保条約が自然成立した時に、まだ生まれていない。ポスト安保世代が政権の中枢を占め始めたのだ。
時の流れでもあるが、それだけではない。若い世代が前面に出なければならない時代の要請がある。
たとえば、福山はこんな経験をした。鳩山前政権の副外相になったとたん、
「シンポジウムに鳩山首相やオバマ大統領を呼びたいので、そのお願いに行きたい」という話がいくつもきた。政権が代わり、期待感があふれ出た結果である。過剰期待と過剰要請で、要求レベルが急にはねあがったのだ。
<ちょっと皆さん、舞い上がられている面もあるのかな>と福山は感じたという。何ごとも時間と手続きがいる。だが、自民党時代にはなかったことで、要請相手が若いことも、政治を身近にしている。
ある日、福山がテレビ朝日系列の<朝まで生テレビ!>に出演すると、やはりパネリストの<反・貧困ネットワーク>事務局長、湯浅誠(日比谷・派遣村村長)に、
「なかなか政治は実現するまでに時間がかかる」と不満を言われ、福山は、
「それは違う。ケイタイ電話1本もらったら、その場では出られなくても、必ず折り返して電話する」と反論した。さっそく、湯浅からケイタイがかかり、福山は長妻厚労相に、
「早く会ってあげてほしい」とつないだ。まもなく、湯浅は内閣府参与に就任、さきの所信表明演説でも、菅直人首相が湯浅らの活動に共感を示した。
それに類したことが、日常的になっている。福山は、「直接つながる民主主義ですから」と言うが、若い世代の身軽さがそれを助けているのも確かだ。重鎮、ベテラン相手ではこうはいかない。
民主党は老・壮・青の青グループが光っている。自民党はそのグループがなく、老・壮が踏ん張っている。参院選、真っ盛りだ。(敬称略)
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