5840 故郷に誇り持とう 西和賀町文化シンポジウム 古沢襄

東北は中央に抵抗した者たちの歴史を持っている。その足跡は勝者の歴史の中でしか語られてこなかった。しかし東北各地には敗者の言い伝え、史跡、古記録が残ってきた。それを掘り起こし、東北の誇りを持つことで10年ほど前から「杜父魚塾」を毎年開いてきた。
作家の高橋克彦さんも同じ問題意識で「炎立つ」など東北を舞台にした歴史ロマンを描いている。小さな試みかもしれないが、西和賀町文化シンポジウムの開催は地域の人たちに感銘を与えたと思う。河北新報系の岩手日々が翌日の朝刊で一面トップで報じていた。
<西和賀町文化シンポジウム(町、杜父魚塾主催)は26日、同町上野々の町文化創造館「銀河ホール」で開かれ、作家高橋克彦さんや同塾長の古澤襄さんらが、先人が築いてきた故郷に誇りを持つことの大切さを強調した。
シンポジウムは「眠れる西和賀の宝を掘り起こす-『炎立つ』の世界から日本を観る」がテーマ。前町長の高橋繁さんをコーディネーターに、高橋克彦さんと古澤塾長、細井洋行町長がパネリストを務めた。
この中で、高橋克彦さんは父親の古里である旧沢内村に対する思いの深さを紹介。1940~44年にかけて芥川・直木賞に県内から毎年のように候補者があったことについて、「岩手の文芸のピーク。しかし、県の文芸を築いた人たちの作品が書店で手に入らない」と話し、「郷土を知らずして、誇りや自信につながらない」と指摘した。
また、「炎立つ」などの作品を書くきっかけなどに触れながら、「和賀郡は東北地方で一番輝いていた所。一人ひとりが和賀の生まれを自覚し、故郷を大切にしていきたい」と話した。
また、古澤塾長は「東北の魂に光を当て、壮大なロマンを描いた『炎立つ』には感銘した」と高橋文学が地域に勇気を与えていると説明。「安倍氏の血筋を自負している人たちは、東北の歴史に強い関心と誇りを持っている。中世初期には、一番豊かな場所だった」と和賀の素晴らしさを強調。直木賞候補となった旧沢内村出身の作家で、父親の古澤元さんのルーツなどを紹介した。(岩手日々)>
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