ロシア、中国との国境付近で大規模な軍事演習、スホイ34も登場。「どの国をも仮想敵国と描いてはいない」とロシア軍総参謀長が会見。
西シベリアに眠る天然資源は無尽蔵と言われた。原油、天然ガス、希少金属。バイカル湖の水資源。イルクーツクからチタ周辺は開発ブームがまだ続いているが、増産のペースは収まり、たとえば原油生産は前年比8・5%増が09年には3・5%に減速している。
ロシアは西シベリアの資源がいずれ枯渇すると踏み、つぎは東シベリア開発へ軸足を移した。永久凍土、零下五十度。ながらく埋蔵が確認されながらも開発は膨大な資金とリストとを前にして二の足を踏んできた。
プーチンが本気に取り組みだしたのは数年前からで、まずは満州里へと繋がる鉄道輸送を倍加させ、中国への鉄道輸送による原油輸出の拡大と、同時に原油輸送パイプラインを、大慶へ敷設することで合意した。中国は当座の原油代金30億ドルを前払いしたうえ、東シベリア開発のため、250億ドルをロシアへ融資した。
一方で、プーチンはウラジオストック開発の大号令、2012年APEC誘致に成功する。同時に日本の中古車輸入を事実上さしとめるという挙にでたが、つぎにナホトカのチャイナ・タウンから中国人を締め出した。
これらの経緯をふまえると、ロシアの矛盾が浮き彫りになる。なぜ、西シベリアで、この時期を選んで大規模な軍事演習を展開したのか。
▲ソ連解体後、はじめての大規模演習の意義は?
ウラル、モスクワ、西シベリアなど各軍管区から動員された兵士20000名、航空機70機には新型スホイ34が含まれ、長距離輸送機も登場した。輸送機は8000キロを空中給油を受けながら飛んできた。
ウラジオストック近海には黒海艦隊の旗艦があらわれ、またミサイル巡洋艦など新造のハイテク艦船の集結は五月末から目立った。黒海艦隊はポスポラス海峡から地中海、喜望峰、インド洋、ロンボク海峡、東シナ海をまわってくるわけだから、この演習は一年以上の準備が必要だったろう。
新兵器の実験のみかわ通信系統の確認、装備点検と兵站の効率確認など、当座の軍事演習の目的はあるが、戦略的目的は漠然としている。軍事専門家は「ロシア軍の改革の成果を点検する目的も含まれる」と解説する。
しかしながらソ連解体後、これほどの規模の軍事演習は初めてで、「東方2010」と名付けられた、この軍事演習は6月29日に開始され、7月9日まで続けられる。
ニコラス・マカロフ層参謀長は「いかなる条件下でも軍隊を組織的に動員し、軍事作戦を機能させうるかの演習であり、どの国をも仮想敵国と想定してはいない」と記者会見している(多維新聞網、6月30日付け)
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5841 中ロ国境でロシア軍が大規模軍事演習 宮崎正弘

コメント
良いこと良いこと。
盗賊国家対下劣国家。
ハイエナとリカオンの戦い。
面白いな。
おうお、いい加減にしろや、他所の国の庭の資源漁りはやめんと、同類が攻めてくるぞ。