「中国、GDPで日本をことしは抜けない」(ブルームバーグ)。他方、中国銀行がふたたび奇妙な増資計画を発表し投資家が疑心暗鬼。
中国はGDP成長率を上方修正した。8・7%から9・1%へ。しかし、2日に発表された中国国家統計局の数字ではGDPは4・68兆ドル(日本は5・07兆ドル)。
「中国は年内に日本のGDPを抜き、世界第弐位となる勢いがそがれ、2010年も日本は世界第弐位の経済力を保持するだろう」(ヘラルドトリビューン、7月3日)。
一方で、中国農業銀行の上場は15,16日に予定され、投資家の不安心理が拡散、拡大しており、GDPの上方修正にもかかわらず、中国の高度成長の継続拡大をいまも、唱えているエコノミストは殆ど消えた。
ゴールドマンサックスなど有数の欧米エコノミストは軒並み中国の成長率を下方修正し、「ほぼ三分の一の強気のエコノミストらは弱気に転じての予測を次の二、三週間以内に発表することになるだろう」(同ヘラルトトリビューン)。
証券系シンクタンク、銀行系アナリストをとわず中国の成長率をほぼすべてが下方修正の方向にあるという。こんなおりに中国銀行が88億ドルの増資を計画中と発表されるやいなや、上海、香港の銀行株が5・5%急落した。
つまり無茶な融資の不始末を増資で吸収しようとするわけであり、その増資を消化できるキャパがすでに市場にないばかりか、そのことをきっかけに株価の暴落が再開されると市場関係者で予測する向きが広がっている。
♪
中川八洋 『民主党大不況――ハイパー・インフレと大増税』(清流出版)
政治改革の挙句に自民党が下野し、マルクス・レーニン主義を変形した、フェミニズムやポストモダン・ポストコロニアリズムが蔓延して、我が国が亡国に直面すると、筆者・中川八洋は察知した。
1991年12月25日の夕方、クレムリンに掲げられた国旗が、赤いソ連国旗から、ロシア国旗に変わるテレビの映像を見た時だという。
「ソ連邦の崩壊によって、日本では反共思想・ロシア脅威論の完全消滅が発生するから、国防の軽視ばかりか、コミュニズムが日本の隅々まで浸透し支配する」 と。
その根拠は、ソ連の崩壊を「無教養な<日本の保守>は共産主義イデオロギーの死滅だと極端な錯覚に踊るだろうから、日本の極左勢力は、今度はソフトで緩やかな革命戦術に転換して、マルクス・レーニン主義を衣で隠した無色透明な新型コミュニズムが発明されて日本国中に蔓延し汚染していく」
「<日本の保守>は、これに対抗して対策を講じることなく放置する」、「その結果、遠からず日本は亡国の淵に瀕する」というものだったと述べる。
本書は、ソ連崩壊後の我が国でおこった、「無色透明な新型コミュニズム」の浸透を概観し、その権化である民主党政権が成立した今、我々は何をなすべきかを突きつけている。放置すれば、ローマ帝国の崩壊と同様・祖国愛や祖先への崇敬、あるいは未生の子孫への義務意識を溶かし消し去る思想侵略への免疫の喪失、堕落と屁理屈による蹂躙、浪費による経済崩壊・資源消失、ハイパーインフレ ・国家を支える国民を消し去る、自国領土内の外国人の法的な扱い帰化人・参政権を得た外国人による蹂躙。
この2つの毒が全国民に蔓延し、シロアリに食い荒らされた家のように、我が国は内部から崩壊すると、断言する。
もうすでに小渕内閣を筆頭に赤い霞が関官僚や赤い自民党議員によって、日本国の経済破綻が織り込まれている。ハイパー・インフレはすぐそこまで来ていると。
しかし、筆者は訴える。 「脱・福祉国家か、亡国か」。このような国家存亡の瀬戸際にあって、「祖国の永続」を思い聖断を下された”孤高の天才政治家”昭和天皇の聖慮を思い起こせと。まだ諦めるな! 参議院選挙は、天下分け目。衆参ねじれに持っていかなければ、亡国は現実になるぞ、と。(評 平岡憲人)
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
5855 ことしはGDPで日本を抜けない 宮崎正弘

コメント